そこには従来の広告を始めとするマーケティング・コミュニケーションにとどまらない広義のマーケティングの企画と実行が必要となります。事業会社側でマーケティングを担う人は、そしてそのマーケティング活動を支援するパートナー企業は、競争軸の変化にどう向き合っていけばよいのか。連載第1回は、サイカの平尾喜昭氏とインティメート・マージャーの簗島亮次氏が議論しました。

インティメート・マージャー
代表取締役社長 簗島 亮次氏
大学院在籍中に世界最大級の統計アルゴリズムコンテストRSCTC2010DiscoveryChallengeにて世界3位に入賞。卒業後は、グリーへ入社。更なるデータ活用ビジネスを志向し、フリークアウトへ。2013年、インティメート・マージャーを創業し、代表取締役に就任。

サイカ
代表取締役CEO 平尾 喜昭氏
2012年慶應義塾大学総合政策学部卒業。自身の体験から「世の中にあるどうしようもない悲しみを無くしたい」と強く思うようになる。大学在学中に統計分析と出会い、卒業直前の2012年2月、サイカを創業し代表取締役CEOに就任。
「釣り」から「漁」へいま、必要なのはソナーの提案
―昨今の企業のマーケティング活動を取り巻く課題をどのように見ていますか。
平尾
:コロナ禍でマーケティング投資を控える企業もあり、広告について明確にROIベースでの判断が求められるようになっています。これまで以上に、広告投資についての説明責任が強く求められる環境になっていると言えるでしょう。もはや、広告チャネルによる聖域はありません。あらゆる広告活動において、効果の可視化、事業に対する貢献についてシビアな判断が下されるようになってきたと思います。
簗島
:広告主企業を取り巻く環境はいろいろ変わりましたが最近、強く感じているのは変化に対応できている企業、そうでない企業の差が広がっていることです。二極化とも言える状況が生まれています。
―マーケティング部門の機能や役割に、変化はあると思いますか。
平尾
:よりマーケティング投資の事業への貢献の可視化が求められるようになったことで、経営層とマーケティング部、あるいはマーケティング部と連携する他部門などとの間に共通指標を持ちたいと考える企業が増えていると思います。ブランド好意度や購買意向など、従来の広告宣伝部が使っていた指標と違い、事業活動に直結する指標の提示が求められています。