イベントレポート:澤田智洋×晋平太 コピーライターとラッパーが語り合う「言葉の極意」

コピーライターの澤田智洋氏による書籍『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』の発売を記念し、青山ブックセンター本店で刊行記念トークイベント「澤田智洋×晋平太「コピーライターとラッパーが語る『言葉の極意』」が開催された。ゲストの晋平太氏はフリースタイルの伝道師として活動し、全国で日本語ラップの普及活動も行うラッパー。2人の言葉のプロが「言葉」や「ホメ」について語り合う夜となった。

イベントは7月11日に青山ブックセンター本店で開催された。

ラップはダメ出しとホメ出しのマリアージュ

澤田

:ラップの、それもフリースタイルバトルの「ダメ出し」と「ホメ出し」のバランスって絶妙ですよね。フリースタイルは相手をディスるもののような印象がありますが、たまにリスペクトも入っていて。徹底的に相手をダメ出しするのではなく、ホメ出しとの「マリアージュ」のようなものを感じます。コピーライターは相手の魅力を肯定して、観察して、発見して、表現するという手法を常に使うんですが、そのスタイルと近いものをラッパーの方々も駆使しているのではないかと。まず単刀直入に聞きたいんですが、今の晋平太さんにとって「ラップ」ってどういう存在なんでしょう?

著者の澤田智洋さん

晋平太

:ラップは、便利な「道具」だと思っています。音楽ではあるんですけど、僕にとっては言葉の要素の方が強い。音楽的であり、コピー的であり、リズミカルでもある伝わりやすい言葉です。だから使いやすい便利な道具なんです。最近ではラップを使ったCMも多いですよね。語呂がよかったり、普通に話すより想いが伝わりやすいからこそ、よく採用されているんだと思います。

ゲストの晋平太さん

澤田

:短い言葉の中で情報を詰め込んでいるから、情報源としても豊かだし、記憶にも残りやすいですよね。晋平太さんは、ラップという表現手段を持っていることで、世界や人を見る目が変わったと感じることはありますか?コピーライターはコピーを作るときに、その商品の見方が変わることが往々にしてあります。「この商品は絶対に自分が気づいていない素晴らしい点があるはずだ」という視点で見るからです。

晋平太

:ラップは「感情を発信する道具」という役割も担っているので、自分の感情を改めて見つめるようになると思います。さっき澤田さんは「見る」と言いましたが、ラップは実は「見る」よりも「聞く」ことが多いんですよ。フリースタイルバトルも、相手のラップを聞いていないと上手い返しはできない。だから、ラッパーは相手の言葉を聞いて、何を言おうとしているのか理解する能力が必要だと思います。相手のラップを聞きながら、常に会話の糸口のようなものを探していますし、どこのポイントをピックアップすれば自分のアンサーを返しやすくて、お客さんにも響くか、芯を食った返しができるかを考えている。それを反射的にやっている感じでしょうか。

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