
講談社
第一事業局
コミュニケーション
事業第一部 部次長
デジタルマーケティング
グループリーダー
松村 吏司氏
Google、フォーエムなどを経て2018年1月より講談社に転籍。運用型広告、純広告などのプランニング、広告商品開発、営業を担当。

サイカ
代表取締役CEO
平尾 喜昭氏
2012年慶應義塾大学総合政策学部卒業。自身の体験から「世の中にあるどうしようもない悲しみを無くしたい」と強く思うようになる。大学在学中に統計分析と出会い、卒業直前の2012年2月、サイカを創業し代表取締役CEOに就任。
Cookieレス時代に注目を集めるコンテキストマッチ広告と統計分析
―昨今の企業のマーケティング活動を取り巻く課題をどのように見ていますか。
松村
:3rd Party Cookie規制により、ネット広告におけるリターゲティングがこれまでのようには実行できなくなりました。デジタル上での対象顧客へのリーチに悩みを持たれている広告主が多いと感じます。
平尾
:コロナ禍でマーケティング投資に向けられる視線がシビアになり、これまで以上にROIを重視する機運が生まれていると思います。加えて松村さんが指摘されたようなグローバルでの個人情報保護の機運に、さらには国内でも個人情報保護法が改正され、投資効率は求められながらも、ネット広告においては従来の手法が通用しなくなりつつあります。そのような環境の中で、注目されているのがコンテキストマッチ広告と統計学的なアプローチによる広告の評価だと思います。前者は取得した情報から推計し、個人情報を使わずとも、ユーザーを取り巻く文脈を理解したうえで紐づけ、最適な広告配信をすることでターゲティングの精度を維持します。後者は推計ベースのアプローチで各種広告のROIを見る手法なので、個人のプライバシーを侵害するようなデータの利活用がなくても、マーケティング活動の効率を高めるヒントを提供するものだと考えます。
―広告主企業が抱える課題をどう捉えていますか。
平尾
:「施策評価指標の統一化」です。今までは施策単位で異なるKPIを追っていることが一般的でした。例えばネット広告担当はCPA、テレビCM担当は好意度や認知度を追っているというサイロ化された状態でした。結果的にそれぞれのKPIを個別に最大化させても、マーケティング活動全体の投資対効果が最大化できているか分からない状態になっていました。ですから施策や部門を超えて、KGIに対しての貢献度をしっかり測れるようにしようという取り組みは、いろいろな形で加速度的に進んでいると感じています。
松村
:「この施策によってどのくらいのROIが見込めるのか」をどうにかして測りたいという声を多く聞くようになりました。講談社の例で言うと、今までは当社の広告営業部門とクライアント側の宣伝部は、どういうクリエイティブをつくって、どういう形でプロモーションをしていくかという話し合いをして終わりだったものが、最近ではどこまでROIが見込めるのかまで打ち合わせをしています。