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サステナブルな百貨店をいかに実現するか 阪急うめだ本店が挑む環境配慮型の売場づくりーーエプソン販売

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阪急うめだ本店とエプソン販売は環境に配慮しながら魅力的な売場装飾を目指すプロジェクト「Sustainable Decoration」を進めている。プロジェクト立ち上げの経緯から実証実験の成果について、阪急阪神百貨店の担当者に話を聞いた。

(左から)阪急うめだ本店 OMO販売推進部 ストアUX推進部 マネージャー 企画担当 兼 サステナビリティ推進担当 山下達也氏、OMO販売推進部 ゼネラルマネージャー 吉田篤史氏、事業計画部 マネージャー 事業計画担当兼 サステナビリティ推進担当 立川智一氏

劇場型百貨店が取り組むサステナブルな売場づくり

吉田:阪急うめだ本店は2012年の建て替え完成を機に、ストアコンセプトを「劇場型百貨店」と位置づけ、モノを販売するだけでなくコト(文化的価値情報)を提供する新たな顧客体験の創出に力を入れています。

9階に4層吹き抜けの「祝祭広場」や「阪急うめだホール」「阪急うめだギャラリー」「アートステージ」などの大きな催事スペースを持ち、各階にもイベントスペースを備えています。それぞれのイベントスペースでは、1週間から2週間に1回のペースを基本に、常に新しい情報やワクワク感をお届けしており、1日平均10万人に来店いただいています。

山下:阪急うめだ本店は2019年からスタートした「Good For The Future」キャンペーンをはじめ、サステナビリティへの取り組みに注力しています。その一環として、魅力のひとつである各階イベントスペースで排出される店舗装飾の廃棄物量削減に関してもリサイクル素材への切り替えや間伐材の活用などの取り組みを強化してきました。

しかし、イベントごとの装飾で発生する廃棄物はどうしてもなくなりません。催事を減らす、同じ装飾を流用するといった対策は簡単に思いつきますが、それでは売場の新鮮さ、楽しさ、ワクワク感が失われてしまうのではないかと危惧していました。

立川:サステナビリティ推進担当として売場の新鮮さや装飾のクオリティと環境への配慮の両立が課題感としてありました。新しい打ち手として、テクノロジーの活用の可能性を考えていたところ、2021年2月に開催された「サステナブル・ブランド国際会議2021」でエプソン販売さんの出展ブースに出会い、こうした課題を解決できるのではないかと思いました。

ご相談したところ、目指す方向性が一致し、共同で実証実験を行うこととなりました。

山下:エプソン販売さんの印刷技術と映像技術を組み合わせることで、環境への配慮と店舗の魅力的な装飾の両立を目指したプロジェクト「Sustainable Decoration」を立ち上げました。8階の「プロモーションスペース81」で2021年11月~2022年1月までの期間中、4つのイベントで実証実験を行いました。ここでは「壁面装飾の変更」と「液晶プロジェクター」を用いた取り組みをしました。

「壁面装飾の変更」では、イベントスペースに設置される期間限定の店舗壁面を構成する材料に着目し、環境に配慮した素材に変更しました。これまで石油由来のスチレンボードのパネルと塩化ビニルの出力紙の組み合わせで構成していた壁面素材を、リサイクル可能な段ボールボードのパネルと合成紙の出力紙の組み合わせへと変更。また、各イベント終了のたびに廃棄する運用から、出力紙をパネルに重ね貼りすることで、パネルを全イベントで継続的に活用できるようにしました。

また、店舗演出に「液晶プロジェクター」を導入しました。プロジェクターの設置台も、FSC(森林管理協議会)認証を取得した段ボールベ ースで製作した什器を使用し、再剥離可能な出力紙を用いることで、次回イベント開催時もデザイン変更した出力紙を貼り替え、繰り返し使用することが可能となりました。

吉田:新しい装飾手法によるイベント計4回の廃棄物量の合計と、類似した条件で開催した過去の従来手法によるイベントの廃棄物量の合計を比較検証したところ、重量にして合計約20kg、約14%の廃棄物量削減をすることができました。繰り返し使用できる店舗装飾物を利用することで、廃棄物量の削減に一定の効果があることが実証できたことはもちろん、プロジェクターを活用することで、足を止めて写真を撮るお客さまもおられるなど、リアル感、臨場感あふれる売場づくりができたと思います。

8階スポーツファッション売場では、以前使用した木材をスクリーンとして再利用。木材に直接投影することで、海辺の小屋をイメージした装飾のレトロ感と柔らかさが際立ち、世界観を表現できた。

さらなる魅力と環境配慮が両立された売場づくりへ

立川:実証実験の結果を受け、本年6月1~14日で行ったキャンペーンではエプソン販売さんと売場づくりをするフロアを3つに拡大しました。「LOVE ACTION for the EARTH」をテーマに、自然と人、社会や地域と個人、さらに心と体など、それぞれが “循環” し “調和” することが、より豊かで持続可能な暮らしに繋がっていくと考え、各階で様々なアイテムを紹介するものです。前回の実証実験で廃棄物の削減効果は証明されていたので、今回はその中でいかに魅力的な売場演出ができるかに取り組みました。

山下:7階のリビング用品、8階のスポーツファッション、11階の子ども服売場の3フロアそれぞれで壁面装飾を変更し、液晶プロジェクターを活用した演出を行いました。「LOVE ACTION for the EARTH」を商品だけでなく、売場での演出も含めテーマに沿った提案ができたことでお取引さまにも喜んでいただけました。

また、スポーツファッション売場では、以前に装飾で使用した木材を廃棄せず残しておき新たに組み上げ、スクリーンとして再利用しました。木材に直接投影することによって、周りの環境とも親和性が高まり、新しい演出ができました。

今回のキャンペーンを通じて、プロジェクターの設置や使用を社員でも行えるようになったのですが、他の売場でも使いたいという声が上がり、こうしたソリューションをもっと気軽に使えるスキームを確立できればと思っています。

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