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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

価値観が細分化した今こそ、我が道をゆけ!「ACC TOKYO CREATIVE AWARDS」の舞台裏

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【前回コラム】自分の中に「芝居がうまいって、何?」という疑問がずっとあった(妻夫木聡)【後編】

今週の「すぐおわ」は、珍しくゲストなし回。広告の番組である基本に立ち返って、澤本・中村両氏が審査員を務めた「ACC TOKYO CREATIVE AWARDS」の裏側をたっぷりとお届けします!

今回の登場人物紹介

左から、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、中村洋基

左から、中村洋基、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)

※本記事は2022年11月20日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

前回の放送で「TOKYO FMツイッターアワード」を受賞!

澤本:みなさんこんばんは、CMプランナーの澤本です。

権八:はい、こんばんは。CMプランナーの権八です。

中村:Web野郎こと中村洋基です。なんだか、この番組が褒められたらしいんですけど……。権八さんはご存じですか?

権八:いやいや、僕もさっき聞いてびっくりして! 嬉しいですね、これ!

澤本:嬉しいですね~。

権八:稲垣吾郎さんと今泉力哉監督が映画『窓辺にて』の話をしてくれた前回の放送後に、「すぐおわ」の公式Twitterで「どうもありがとうございました!」というツイートをしたんですが、そのツイートでなんと! 「TOKYO FMツイッターアワード」というものを本番組のスタッフがいただいた、ということで……。

中村:おめでとうございます!

権八:いやいや、嬉しいね。

澤本:だって、褒められることないからね、ほとんど。

権八:そうですよ。

澤本:よかった。だって、賞状あるよ、これ。

権八:ペラッペラな賞状ですけど……(笑)。

澤本:たしかに、カラーコピーみたいな賞状ではあるけど(笑)。

権八:「貴殿は、SNS活用において最適な運用をすることができ、リスナーのエンゲージメント向上に寄与しました。ここにその功績を讃えて表彰いたします」と。嬉しいですね。

澤本:ありがとうございます、TOKYO FMの方。

権八:そうそう。でも前回、本当にたくさんの方が聴いてくださってね。SNSがかなり「祭り」状態になったんですよ。嬉しかったですね〜。

中村:すごいですね、今泉監督と。

権八:吾郎ちゃん! 吾郎さんがいつも以上に“素”でね。ファンの子たちが「吾郎さん、こんなにはしゃいじゃうんだ!」みたいな(笑)。すっごい喋ってましたからね。

澤本:ね、すごい楽しかった。

権八:楽しかったですね〜。

「ACC」の舞台裏をご紹介

中村:そして今回は、珍しくゲスト不在で、レギュラーメンバー3人だけで。テレビCM、ラジオCMをはじめ、優れたクリエイティブを表彰する……「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」特集〜!!

澤本:そもそもこの番組、広告の番組だからね。

権八:あっはっはっは! そうでしたっけ?(笑)。

中村:みなさん、お忘れかもしれませんが。広告ファンが「まだ広告の話をしないのかよ」って、ず~っと思っているんじゃないかと思いまして。今日は存分に広告の話をしますよ、と。

権八:はい。

中村:今回の「ACC」では澤本さんが「ラジオ&オーディオ広告部門」の審査委員を務めまして、私、Web野郎中村がなぜか「クリエイティブイノベーション部門」の審査委員長を務めましたね。そこもちょっと振り返っていきたいな、と思っております。

澤本:「ACC」自体、8つも部門があるからね。

中村:そもそも「ACC」というのはどんな賞なんですかね?

澤本:一年間、日本でつくられた広告の中で優秀なものを審査して、褒めてあげようっていうね。

中村:そうですよね。東京コピーライターズクラブ(TCC)とか、いろいろ賞はあるけれど、やっぱりACCは「どセンター」のひとつ、という。

澤本:そうですね。TOKYO FMの「ツイッターアワード」と同じぐらいの価値がある、と。

権八・中村:あはははは!

中村:ホントかなぁ~!(笑)。

権八:それで、審査委員長は?

澤本:ラジオの審査委員長は、古川雅之さん(電通関西支社)。キンチョウのCMをひたすらつくり続けている、面白いおじさんですね。

権八:はいはいはい!

中村:審査の様子はどんな感じだったんですか、今年は?

澤本:今年はリアルじゃなかったので、リモートで一日中ず~っとやっていましたけれども。ただ、しりあがり寿さんがいたのよ、ラジオの審査員で。

中村:へえ~!

澤本:あとは、漫画家でもありイラストレーターでもある、しまおまほさんとか。そういう「リスナー代表」的な方もすごく多くて、審査してて面白かったですよ。ラジオ部門の審査って楽しいんだよね、ひたすら面白いのを聴けばいいから。

権八:そうですよね、純粋に聴いて、ピュアに審査できるという。

「あるある」を取り上げた「カロリーメイト」

中村:今年のラジオ部門の傾向とかはあったりしたんですか?

澤本:今年もまだ収束はしてないですけど、去年もやっぱりコロナだったので、関連したものは結構あったかも。でも「今はコロナなんで、ちょっと」という自粛系のものより、ちょっと(コロナ禍を)抜けたなっていう感じのものが褒められていた気がします。あとは、ウクライナ問題をテーマにしたラジオとかもあって。

中村権八:おお~!

澤本:やっぱり、時事性を大切につくっているなと思って、楽しんで聴いていました。

中村:それでは、早速いくつか聴いていきたいと思うんですが。まずはじめに、澤本さんも気になったという作品を聴いてみましょうか。「ラジオ&オーディオ広告部門 Aカテゴリー」のラジオCM部門シルバー受賞作、大塚製薬のカロリーメイト「待たされる電話」篇です。

大塚製薬/カロリーメイト「待たされる電話篇」篇 (以下、12月28日まで音声を視聴可能)

澤本:……というものですね。

中村:これ、Web野郎中村は非常に好きですけどね。「あるある」の中でも、これは誰しもが経験したことがあるんじゃないかと。途中の「プツッ」ていうフェイントも、まさにあるあるというか。

澤本:あれがいいよね。

中村:権八さんはこれ、どんなファーストインプレッションでした?

権八:いやいや、やっぱり、待たされる時間っていうのはイヤですよね。誰しもが経験したことのあるこのイヤな感じね。でもこれ、「カロリーメイト」なんですね。

澤本:そうそう。

権八:意外にも。

澤本:最後に急にお昼になって、「お腹すいた〜!」ってなってたからね。

権八:うんうん。強引な感じもまた良し、という。今は最初に大塚製薬の「カロリーメイト」って聞いてから始まったけど、通常は知らずに聞き始めるわけだからね。

澤本:そうだね。

権八:だからラジオでは、「あ、カロリーメイトのCMなんだ!?」って最後にみんながびっくりするやつですね。

中村:これは、澤本さんの評価ポイントとしてはどんな感じですか?

澤本:評価ポイントは、さっき洋基くんが言ってくれた通りで。ラジオCMって、多くの共感を集めそうなシチュエーションにうまく持ち込んで、追体験する時が面白いんだと仮定すると、これはネタの見つけ方が面白いな、と思ったけどね。

中村:でも、シルバーなんですね。惜しくもゴールドにはならなかったと。これには何か理由があるんでしょうか?

澤本:僕の好きな作品がゴールドになる、というわけでもないですからね。多数決ですから。

中村:はい。それでゴールドに残ったのは、去年グランプリにも輝いた「金鳥 虫コナーズプレミアム」の「棒シリーズ」と、ラジオ局 interfm(インターエフエム)の「日本の生活」篇。それとエフエム群馬「特殊詐欺対策キャンペーン」の「思い出話キヌヨさん」シリーズだったらしく。この中からグランプリが決定したわけなんですが、このゴールドはどんな作品だったんですか?

大日本除虫菊/金鳥 虫コナーズプレミアム「棒シリーズ」

interfm「日本の生活」篇

澤本:interfmの「日本の生活」篇は、日本にいらっしゃっているウクライナの方々に向けてウクライナ語で喋りかけるもので。時節柄もあって評価されましたね。キンチョウは手を変え品を変え、よくもこんなくだらないことを考えつくなぁ〜、というやつですね。

中村:あはははは!

澤本:でもこれ、すんごいよくできてた。

権八:へえ~!

澤本:キンチョウって、毎回思うんだけど、音の使い方がうまいんだよね。背景に流れている音の使い方とかが。ただコピーがうまいだけじゃなくて、細部まで行き届いていてとても上手だったんだよね。

澤本:エフエム群馬は、もう説明のしようがないので。聞いていただいた方がいいかな。

権八:なるほど。

中村:はい、わかりました。ちなみに、この作品も含めた受賞作は、12月28日までACCの受賞作品のホームページで聴けますので。

「FMぐんま」がアイデア一本勝ち!

中村:はい。それでは今年の「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」ラジオCM部門のグランプリ作品を聴いてみましょう。どうぞ!

エフエム群馬/特殊詐欺対策キャンペーン「思い出話キヌヨさん」シリーズ

中村:はい。というわけで、今年のACCのラジオCM部門グランプリ、エフエム群馬の特殊詐欺対策キャンペーン「思い出話 キヌヨさん」の3本をお届けしました。まずは権八さん、どんな感想ですか?

権八:いや~、なんていうか。もちろんよくできていますし、非常に後味の悪い……(笑)。こういう騙し方があるんだ、ということが本当に伝わってきて、すごい胸が痛むというか……。

澤本:いや、そうなのよ。もうね、審査員がこれを聴いた後、自分のお母さんに電話しようとしたのよ、みんな。

権八:いや〜、怖いですよね。でも、CM自体は本当に素晴らしいというね。そうやってみんなに注意喚起することに成功しているから。素晴らしいなぁ~、とは思いつつ、イヤだなぁ~、と。

澤本:しかも、3本もあったからね。

権八:あははは! でも、すごい力がありますね。

中村:澤本さん、これは審査の場ではどんなディスカッションになって評価されたんですか?

澤本:まぁでも、今の権八みたいな話で。これはCMの制作者が他の人に頼んで、実際に製作者自身のおばあちゃんに電話を掛けてもらっているらしくて。

中村:ああ~!

澤本:そうそう。「特殊詐欺っぽい電話をかけてみて」って言って自分のおばあちゃんにかけてもらって、そのままだまされている、という。

権八・中村:へえ~!!

中村:特殊詐欺まがいのことをやったわけですよね? このCMをつくるために。

権八:すごいね。

中村:すごい……。

澤本:それで、この後味の悪さ(笑)。

権八:後味が悪いのよ、これ(笑)。後味が悪いけど、「気を付けよう」って思えるからね。

澤本:だからこれ、本当にみんな心配になっちゃって、自分の母親が。

権八:心配にもなるよ!(笑)。

中村:ふつうはこういうのって、「気をつけましょう!」みたいな、いわゆる「恐怖訴求」が多いんだけど、これはなんだか単純な恐怖訴求じゃない感じがしますね。ゾクッとするみたいな。すごい複雑な心境になりますよね……。

権八:これ、知らずに聞いていたら、すごくいい雰囲気のおばあちゃんと孫の、優しいCMかなって思いますよね。それがまさか……(笑)。

澤本:急に一転して。

権八:あのナレーションはすごいね。

若手プランナーがラジオCMをやるべき理由

中村:今年の審査会を改めてラジオ部門で振り返って、澤本さんからは何かありますか?

澤本:今のも含めてラジオってさ、制作予算をほとんどかけずにアイデアだけでものすごい成果が得られるじゃない? だから、大作みたいなものはあんまなくてさ。一番の大作といえば大作だったのが先ほどのキンチョウのCMなんだけど、これはぜひ、ACCのサイトに行って聴いてほしいですね。

中村:へえ~!

澤本:本当に。作品としての出来は、たぶんキンチョウが一番良かったと思う。

権八:ほえ~! じゃ、票もちょっと割れたのかしら?

澤本:割れた。割れたけど、ちょっと自分の胸に残った効果として、やっぱり特殊詐欺になったという感じじゃないかな。

権八:ウーン……なるほど~! 凄いハイレベルな闘い!

中村:ちなみに、よく澤本さんや権八さんも特に若いプランナーはぜひラジオCMをやった方がいいよ、っておっしゃるじゃないですか?

澤本:はいはいはい。

中村:どうすれば良いラジオCMでつくれるようになるんでしょうかね?

澤本:ベースとしては、過去作をいっぱい聴いた方がいいんじゃないの?

中村:ああ~、なるほど!

澤本:過去作を聴くと、だいたいこういう手段があるなっていうのが何となく類型化できて。それが分かっていると、つくろうと思えばつくれるし。それが分かってから自分が好きな原稿を書けばいいんじゃない?

権八:ラジオCMは、企画が剥き出しになるっていうかね。さっきのおばあちゃんのCMも、予算はほとんどかけていないんだけど、やっぱりロジックがすごいじゃないですか。そういう企画者の力量がダイレクトに出るのがラジオですよね。

中村:そういう感じがしますよね。

澤本:そうそうそう。

中村:ということで、ラジオ部門でした。

新部門はジャンルを超えた「斬新さ」を評価

中村:今回は、わたくしWeb野郎中村も「クリエイティブイノベーション部門」という比較的新しい部門をやらせてもらってですね。

澤本:これはどういう部門なの?

中村:ここは唯一、ACCの中で広告とは関係ないというか。もちろん、広告会社さんとクライアントが何かを一緒にやる新規事業みたいなプロジェクトでもいいんですけど、いわゆる普通のスタートアップの事業みたいなものも結構多くて。そういう事業の中で、「いかに利益をたくさん生んだか?」ではなく、斬新で、なおかつ未来にも残りそうな面白いものを選ぼうぜ、みたいな部門だったんですよ。

澤本:じゃあ、「斬新賞」ってこと?

中村:そうです。でも一方で、単なる思いつきだけじゃないよね、みたいな(笑)。そんな感じです。グランプリは「NOT A HOTEL」ていうスタートアップ事業なんですよ。これ、聞いたことあります?

権八:うん、聞いたことある。

中村:「NOT A HOTEL」ですから、まさにホテルじゃない、ということなんですけど。「NOT A HOTEL CONNECTED HOUSE」っていう分割所有なんですよね。例えば那須とかに10億円ほどのの超ラグジュアリー別荘みたいなヴィラみたいなものを建てる、と。で、それを部屋ごとではなく、権利を12人でシェアするんです。みんなで分割購入して、スマホから「じゃ、俺何日と何日に泊まるね」とか連絡して使用できる。で、誰も泊まってない時は人に貸せて、貸した分のお金をもらえたりする。

昔はいわゆるコンドミニアムとかペンションみたいなものの部屋を買って、人に売ったり貸したりみたいなことをしていましたけど、分割所有権の新しい形ということですね。この「NOT A HOTEL」は日本中にたくさんできる予定なんですが、電気のスイッチとかが1個もなくて、全部スマホからコントロールするんですよ。

権八澤本:へえ~!

中村:それを聞いて、初めは「めんどくせえだろうなぁ〜」と思ったんですけどね。何でそうなっているかというと、全部の「NOT A HOTEL」で同じ操作ができるようにするために、仕様を統一しているんだと。

澤本:なるほど~。

中村:あとは、10億円のホテルを12分割しても、正直まだ高いんですよね。

澤本:高いよね。

中村:まだ高いので、更にNFTという技術を使って、更にそれをまた分割して。ちょっとずつ所有権をシェアして、憧れのホテルをいかに自分の家の延長として住む体験をみんなにシェアさせるか、みたいな試みなんですよね。たしかにこれは見たことないしイノベーティブだな、ということになって、グランプリになりました。

権八:へー、ちょっとこれ、調べてみよう。

中村:夢の住まいが自分の手の届く範囲に。これまでは超富裕層しか持ち得なかったものが、デジタルによる分割の力でもうちょっと身近なものになった、ということですね。

権八:なるほどね。ちなみに、他にはどんな受賞作品があったんですか。

中村:他はですね、審査員の中にキングコングの西野亮廣さんがいたんですよ。彼が激推ししたのは、全然違ってサントリーの「社長のおごり自販機」というものでした。自動販売機を会社の中に置くんですよ、福利厚生として。で、その自販機が変わっていて、二人の会社員が社員証を「いっせ〜の、せ!」でピッって掲げると、ジュースがタダで2個出てくる、という。

権八:ほうほう。

中村:それを通称「社長のおごり自販機」というんですね。テーマは福利厚生なんですけれども。これが、ちょっとしたコミュニケーションを生む、ということでゴールドになっていて。
で、西野さんって、コミュニティをつくるのがめっちゃうまいじゃないですか?

権八:うん。

中村:西野さんが、コミュニティをつくる上で一番大事なのは「不便をつくること」なんだと。コロナ禍で全部を便利にしちゃって、リモートワークとかにし過ぎちゃうと、全然コミュニケーションを生まなくなっちゃうから。

権八:なるほど~! 深い。

中村:この「不便をつくっている」っていうのが良いね! みたいなことになって。

権八:相変わらずキレる人だね(笑)。

中村:キレますね~。

自分が“いい”と思うものをやるしかない

中村:というわけで、今年のACCを振り返ってみましたが、権八さんは今年の広告界を振り返ってみて、感じたこととかはございますか?

権八:フィルムとかの長尺でね、すごくお金をかけた重厚な良いものも気になってましたね……。あれは入ってたのかしら? 僕がやたら推しているYogiboとかは?

中村:Yogiboは入っていないんじゃないですか?

権八:入ってないのかぁ~! Yogiboはあんまりそういう賞レースには入らないんですよね。TCCにも入ってなかったし。でも、ヨギボーはやっぱり良かったな、鮮やかで。馬のやつも素晴らしかったし、妙にシズル感があって。

Yogibo「アドマイヤジャパン withYogibo 普段の使い方」篇。

「ヨギボー」という言葉自体が、気持ちよさとかくつろぎ、リラックスの代名詞みたいになったな、と。同じ単語でも、言い方や演出ひとつで変わりますからね。NiziUのコたちが目をつぶって倒れかけながら、「ヨギボー!」って言うだけで、「ああ、気持ちいい〜!」みたいな意味を持つ単語に変わったのは、CMプランナーの企画力が鮮やかに出たおかげだな、と。なんかいっつも褒めすぎなんだけど、Yogiboを(笑)。

中村:でも、やっぱりそういうのを聞いてWeb野郎中村が感じたのは「何かいい!」とか「グッときた」とか、数値化できないものを測っているからこそだな、と。澤本さんも「推し」はグランプリじゃなくてシルバーだったりしますし。人によって「いいね!」と感じることがどんどん細分化しているのかな、と思いますよね。

権八:ああ~、そうかもね。ありとあらゆるメディアが周りにありすぎますからね。みんながみんな、テレビを見ているわけではなくなってきた時、その人の評価軸というか、価値観が審査員ごとに多様化しすぎていて……。若い人は「じゃあ、何を目指せばいいんだ?」みたいに迷っちゃうこともあるかもしれない。でも、だからこそ自分がいいと思うものをやるしかないんでしょうね。

だからね。ちょっとこれ、カットかもしれないんだけどさ……(笑)。要は広告の文脈でいうと、これまでは「見たことあるものは、やめようぜ」っていう暗黙の了解があったわけですよ。「これって、元ネタはあれじゃん!」って言われるのが、恥ずかしいことだったはずなんですね。ところが、いつの頃からかネット文化ではそうじゃなくなった。例えば、YouTubeの場合、誰かがウケたら「じゃあ、同じことをやろう!」ってなりますよね?それは悪いことでも恥ずかしいことでもなく、普通のことでしょう?

澤本:たしかに。

権八:このカルチャーをずっと浴びていると、広告にもそういうものが侵食してきますよ、と。

中村:それは、めちゃくちゃ鋭いですね! そう思います。

権八:はっはっはっは! これって、なんだか話しにくいんだけどさ……。新しい価値観と古い価値観の闘いでもあり。

中村:たしかに、YouTubeがなかった時代は、みんなが「モーニングルーティン」をやっているから、俺もモーニングルーティンの動画を上げてみよう、というのは、ちょっとクリエイターとして失格というか……。

権八:うん。

中村:そこにお前の斬新さはねえのかよ?と。

権八:そうそうそう!(笑)。

中村:ね(笑)。たしかに、それがちょっと今、失われつつあるのかもしれないね。そのハングリー精神というか。

権八:いや、ハングリーなのか、何なのか……。だけど、Webでいろいろ流行っているものは、クライアントも全部はチェックしきれないから。そうすると、やっぱりクリエイティブの若い子たちは、当然リファレンス(参考事例)を持っていきますよね。「今、こういうのがウケていて」とか、「こういうものが世界的に評価されていまして」と。それに対して、大体のクライアントが「へー、そうなんだ!」と(笑)。「というわけで今回、この商品の広告はこうなります」と言われた時に「じゃあ、それでいきましょう」と言ってしまう感じがあって……。難しいですね。

中村:これはちょっと、またゆっくり話したいテーマですね。

権八:う〜ん、話しにくいけどね!(笑)。

中村:はい。というわけで、そろそろお別れの時間が近づいております。今日は本当に面白かったものの断片しかご紹介できなかったので、ACCのホームページもぜひチェックしてみてください。そして、来週のゲストは女優の上白石萌歌さんです。お楽しみに~!

〈END〉


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