USJと鳥貴族に聞く 統合マーケティングの実践

人々のコミュニケーションにおける「場所」を提供する居酒屋とテーマパーク。コロナ禍で大きな影響を受ける中で、鳥貴族とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)ではマーケティング組織の体制を変更しながら、新たな取り組みを行ってきた。鳥貴族マーケティング本部長の真門洋平氏と、ユー・エス・ジェイ インテグレーテッド・マーケティング部長の浅井行代氏に話を聞いた。

※本記事は2022年12月8日に行った「宣伝会議リージョナルサミット2022」のセッションを記事化したものです。2022年12月28日発売の

月刊『宣伝会議』2月号

の一部を転載しています。

「宣伝会議デジタルマガジン」

にご登録いただくと全文がご覧いただけます。

 

<!–

–>

(写真左)
ユー・エス・ジェイ
インテグレーテッド・マーケティング部
部長
浅井行代氏

 

<!–

–>

(写真右)
鳥貴族
取締役
マーケティング本部長
真門洋平氏

 

全体像が見えることで 質の向上につながる

──まずはお二人のご経歴についてお聞かせください。

真門

:大学卒業後、普通に会社に就職するよりも⋯と、友人と共に大手居酒屋チェーンのフランチャイジーとして起業し、事業展開に携わりました。2008年、イターナルサービス(現・鳥貴族ホールディングス)に入社。営業部で、お客さまと直接かかわりながら、店舗改善やオペレーションを行ってきました。

当時の鳥貴族では広告宣伝費はほぼゼロ、値引きなどのキャンペーンもなし。しかし、ある程度店舗数が増えていったとき、店舗だけの接点だけでは、お客さまはこれ以上増えないという踊り場を迎えることになります。その解決方法として、マーケティングの手法を取り入れるべきだと実感。2019年から営業本部室長としてプロモーションの企画に携わり、現在、店舗展開や商品開発に至るまで、「お客さまを呼ぶ」ための業務を行っています。

浅井

:私は化粧品会社で営業やマーケティングに従事して、アメリカ駐在を経験。帰国後外資系消費財メーカーに転職した後、2018年にユー・エス・ジェイに入社しました。

テーマパークのマーケティングに携わっていて面白いのが、出勤で電車に乗った瞬間に、ウキウキしたお客さんに囲まれることです。帰宅する時も、「今日は楽しかったね」「混んでたね」と、リサーチせずとも生の声が聞こえる。マーケティングはお客さまと向き合うのが基本。化粧品メーカーでも対面調査は行っていましたが、いまは電車の中での会話を聞けるだけでなく、毎日、モデレーターを通じて200人くらいの来場者に話を伺っています。直接触れ合えるというのは、得難い楽しさですね。

──USJでは2020年、鳥貴族では2021年から、統合マーケティングに取り組まれています。

浅井

:現在、私はマーケティング本部内に2020年に新設されたインテグレーテッド・マーケティング部の部長をしています。それまでアトラクションやイベントの開発を行う「エンターテイメント本部」と、広告宣伝して集客する「マーケティング部」は別々でしたが、これらの機能を統合しました。お客さまにどのように届けるかというゴールから逆算して、各施策をあるべき姿に導くため、このような体制を構築しました。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ