倉成さんのターニングポイントに幅さんがいた!?
倉成
:今日は、本の中で実家のお母様の「伝説の授業」を披露してくれた幅くんと一緒にお話ししていきます。
幅
:実は僕のキャリアのスタートは元々この場所なんですよ。以前ここにあった青山ブックセンター六本木店という書店(注:イベント会場となった文喫六本木は、青山ブックセンター六本木店の店舗空間をリノベーションして使っている)で働き始めたのが最初で。大学を卒業して1年間はバックパックを背負って世界を放浪して、色んなお祭りを巡っていたんです。モントリオールのジャズフェスティバルとか、ツールドフランスとか。
倉成
: 「伝説のお祭り採集」だね、それは。
幅
:で、帰ってきたはいいものの就職活動にものすごく困りまして。青山ブックセンターはなぜかそんな僕を受け入れてくれて。当時お店の2階に建築とデザインの本棚があったんですけど、そこの担当が最初の仕事だったんですよ。
倉成
:へええ。幅くんと出会ったのは、BACHを作った直後だったよね。デザインタイド東京というデザインイベントで僕がプロダクトを販売していたら、目の前におしゃれな本を売っている人がいて、それが幅くんだった。
幅
:15年くらい前ですね。とにかくお金はなかったけど楽しかったし、その頃のご縁がこうやって続くのはうれしいですね。
倉成
:その後も幅くんに仕事を手伝ってもらったことが2,3回あって。実は僕のターニングポイントとなるような企画もありました。まだコピーライターの時代に、寺山修司の没後25周年の企画を角川さんに頼まれて、どう企画したらいいかと幅くんのところに相談に行ったんだよね。
幅
:ありましたね。
倉成
:それまで、イベントはプロデューサーがやらなきゃって固定概念があったんだけど、幅くんがその場でバーっとメモを書いて、「詩のボクシングのイベントなんて、どう?」と。イベントってプロデューサーじゃなくても誰でも企画していいんだ、って気づいたのはその瞬間だったの。いまではイベントのプロデュースの仕事が多いけど、実はそこから始まってるんです。
