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ZOZO 初のリアルショップは「似合う」を研究する場――「niaulab by ZOZO」

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ZOZOが2022年12月、初のリアル店舗をオープンした。その名も「niaulab by ZOZO」というもので、「似合う」が見つかるサービスを提供していくという。
なぜZOZOがリアル店舗をつくったのか、「似合う」をどのように提案していくのか、CDO室 本部長/クリエイティブディレクター 大久保真登さんの話を聞いた
(本記事は月刊『ブレーン』2023年3月号「デザインプロジェクトの現在」から抜粋したものです)。

コンセプトは“ 試着室に飛び込む”

ロケーションは、原宿と表参道のちょうど中間に位置するビルの地下1 階。黒い壁に覆われた一画が「niaulab by ZOZO(以下、似合うラボ)」だ。秘密めいた雰囲気の扉を開けると、華やかな空間が広がっている。

渋谷区神宮前のビル地下1階にある「niaulabby ZOZO」の外観。プライベート空間を重視し、予約をした体験者のみ、キーコードを入力して入れる仕組み。(Photo:Daisuke Shima)

「niaulabby ZOZO」。色とりどりのカーテンで空間が仕切られている。(Photo:Daisuke Shima)

小部屋が連なっていく造りになっているのだが、仕切っているのは波打つカーテン。しかも一種類ではなく、透け感のある素材を重ねてあったり、フェルトのような不織布があったり、バリエーション豊かな布の群れが、心を浮き立たせてくれる。「ファッションにまつわる新しいサービスを提案する場だけに、デザインの細部に気を配りました」と大久保さん。

コンセプトは“試着室に飛び込む” ――服を着るために試着室に向かう時は、「自分が身に着けたらどんな風に見えるだろう」「ちょっと新しい自分に出会えるかも」とワクワクするものだ。そういった気分を盛り上げる空間デザインがなされている。

ずらりと並んでいる服は700点以上。ブランドを越えて、アイテム別に分けられており、一隅には靴のコーナーもある。映画『プラダを着た悪魔』の編集部のバックヤードのような、キラキラした商品と空間が広がっているのだ。

実際にアイテムを見て話しながらプロのスタイリストが体験者の「似合う」を探っていく。ファッションアイテムは常時700点以上を用意。(Photo:Daisuke Shima)

これだけの物量の中から「似合う」を探すのだから、楽しく貴重な体験になるに違いない。新品の服が揃っているが、これらは全てZOZOが買い取っていて、使用したアイテムは破棄せず、ブランド古着のファッションゾーン「ZOZOUSED」で再利用していくという。

「似合う」を探す2時間以上のプログラム

さてここで、どんなサービスが行われるのか。まず、事前カウンセリングシートをもとに、ZOZOオリジナルの「似合うラボAI」とプロのスタイリストの知見を合わせ、好みに合いそうなコーディネートを3パターン提案。それをもとに、スタイリストがお客とじっくり話し合い、試着しながら3つのスタイリングを決めていく。

その後、一番気に入ったスタイリングでプロがヘアメイクを施した上で店内で撮影。最後には、スタイリングの要点が手書きで添えられたカードと写真などがお土産として渡される――一連のプログラムで、おおよそ2 時間以上。1日4~5人、1年で約1000人を対象に、無料で実施していくという。

3つのスタイリングのポイントを記した手書きのカードや写真などをお土産に。

2022年に創業25年目を迎えたZOZOは、そもそも日本におけるファッションECサイトの先駆者的存在と言っても過言ではない。

(……この続きは月刊『ブレーン』2023年3月号に掲載しています)。
 
取材/文
川島蓉子(かわしま・ようこ)
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院修了。ジャーナリスト。
著書に、『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)などがある。