大日本除虫菊は、ロングセラー商品「キンチョール」の新CM「ヤング向け映像」篇のオンエアを、4月7日に開始。自社サイトで、映像を公開した。
ポップな音楽が流れる中、未来都市を思わせる街中にそびえたつのは、日本を代表する殺虫剤である「キンチョール」。映像が進み、次に登場するのはパッケージのモチーフである青いギザギザの三角形が立ち並ぶ空間。ボトルのノズルがアップになり、さらに奥へと進むと、謎の男女がほほ笑む赤い空間に。ナレーションは「テレビコマーシャルを打つ会社です」。画面真ん中のテレビの中へと進むと、キンチョールを背負った「キンチョルマン」が空を飛び交う空間に。そして最後は、再びキンチョールのパッケージがそびえたつ未来都市へと戻っていく。
実はこのCM、キンチョウが考える「ヤング向け映像」として企画。画像生成AIを活用して制作されている。
「今回の新CMは、今までの路線をガラリと変えて 自由な発想で企画。タレントやセリフに頼るのでなく、映像で勝負しようとなりました。しかし、あまり見たことのない、無視されないものを作ろうと意気込むあまり路頭に迷い、何をどうやって、誰とどのように作ればいいのか分からなくなってきたころ、 『AIに画像アイデアの“ブレスト相手”になってもらおう』というAD・プランナー 茗荷恭平とプランナー 小堀友樹の若々しいアイデアで、新たな活路を見出しました。テーマは“ヤング向け映像”とし、それを明記することで誰にでも映像のねらいがわかる仕組みです!」と、電通 Creative KANSAI クリエイティブディレクター 古川雅之氏。
実際にAIにどんな言葉をいれて、この映像をつくりあげていったのか。アートディレクター・プランナー 茗荷恭平氏は、その制作プロセスを次のように話す。
「『商品が真ん中にある未来都市』やキンチョールの赤と青のイメージから『赤い空間』『青い空間』という場面設定、『鶏頭のキャラクター』などのあやふやな状態のシーンを考えました。そこから具体化してく作業は画像生成ブレストです。プロンプトには固有名詞や作家名は入れず、時代やタッチ、モチーフなどを入れて“おっ”と思うものが生成されるまで根気強く呪文を唱える日々が続きました。2種の画像生成AIを試しながら、結果数千枚出力となったのですが、自分のイメージに近いものがでるまで呪文をひたすら“調整”し続けるという方が近いかったです。『man』などが入ると、すぐに海外らしいマッチョでムキムキな画像になりがちなので、『no muscle』などを入れてムキムキを打ち消したり、細かい調整をかけて出力をコントロール。トップカットの赤い鶏がビルを背負っているのは『huge chicken buildings,big city, long shot,90s airbrush painting, minimalism,air perspective,retro future city,big picture,red,Outdoor,High quality,sci-fi,Symmetrical,paitting』という出鱈目な英語の呪文でやっと出てきました。1単語変えるだけで大きく出力が変わることもあり“翻訳AI”と“画像生成AI”を行ったり来たりして、途中で自分が何をしてるのかわからなくなる時もありました」





