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コラム

デジタルマーケター、校長になる!

少子化で年々、減少する入学者 公立高校の“営業”活動に「IBC戦略」を取り入れて入学志望者を増やす!

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画像説明文

 

学校の「グランドデザイン」を描き、学びの場としての魅力を伝える

民間企業の花王から転身し、今年4月に茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校に着任。現在は来年度の入学予定者に向けた、学校説明会に取り組んでいます。

少子高齢化で生徒の数は年々減少。どこの学校も学生の確保に必死になっています。茨城県内でもエリアによっては、公立高校同士の合併なども始まっているほど。特に人口減少が著しい市町村の公立高校は学生の確保に非常に厳しい環境にあります。

いかにして生徒を集めるか。各学校は「グランドデザイン」と呼ばれる学校の重点目標を掲げ、それにもとづく教育目標を年度始めに作成しています。さらに各学校が特に取り組んでいる重点活動もアピール。私が通う下妻第一高等学校・付属中学校の特徴は、「文武不岐=学習と部活動との両立」を積極的に推奨しています。

友人と一緒に目標に取り組む経験を通して、達成感や感動を味わうとともに、忍耐力や協調性などの人間力を磨く事に重点を置いています。

こうした方針や重点活動を整理したうえで近隣の中学校を訪問し、教師の側から本校への受験を進めてもらうようセールスしたり、学習塾に訪問して学校説明をしたりと精力的にPR活動を行っています。まさに受験生を集めるためのマーケティング・営業活動です。

校長自らが中学校や小学校に出向く、トップセールスは校長の大事な仕事のひとつです。私は今年は副校長の立場として携わっていますが、来年は自ら先導を切ってセールス活動を行うことになるので、今から営業戦略を考えようと思っています。

 

課題はSNSの活用 統合的ブランドコミュニケーションを企画

学校説明によく使われるのが、スクールガイド(学校パンフレット)です。このスクールガイドの作成も今のタイミングで行われます。 誰に・何をどのように伝えるのか?ここでもマーケティングスキルが活きてきます。
まずは本校の特徴をしっかり理解して、他校と差別化できるキーコピーを決めることが重要です。本校のキーコピーは「文武不岐~人間力を磨く~」がです。このコビーを象徴するようなキービジュアルをみんなで意見を出し合い、選んでいきます。
これらの内容がスクールガイドにも反映され、学校の経営方針として関係者に伝わっていきます。

画像説明文
「文武不岐~人間力を磨く~」をキーコピーに制作した学校パンフレット。

ただしデジタル時代の現在において、コミュニケーション手段がパンフレットだけでよいのでしょうか。デジタルマーケティングに携わってきた私としては、ホームページやSNSなどの媒体を組み合わせたIBC(Integrated Brand Communication)プランを作る必要があると考えました。

IBCは一貫した方針のもとに、展開されるブランド・コミュニケーションを意味します。
その名のとおり、マスメディア(TV・ラジオ・雑誌・新聞等)での広告だけでなく、電話、FAX、インターネットなど、様々なメディアを融合することで、マーケティング・コミュニケーションの効果を最大化しようとするものです。

スクールガイドの紙媒体やホームページはいわゆるパンフレット的な位置付けで、基本的な情報をみんなに伝える手段です。いわゆるマス向けのコミュニケーション手段です。ただしコアファンとなるユーザー向けへはデジタルの活用が必要です。そのベンチマークになるのが応援団(為應応援団)のSNS活用です。

本コラムの2回目でも紹介した、下妻一高の応援談はSNSでの発信に力を入れています。彼らのSNSマーケティング活動はとても参考になります。

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為應応援団は各種、SNSを駆使して情報発信を行っている。

 

TwitterにYouTube、Instagramも駆使する応援団

例えば、部活の活動報告はTwitterで発信して即時性や鮮度を大事にし、HOW TOの部分の応援歌に合わせた「応援の仕方」はYouTubeで伝え、部活動全体の活動風景やブランディングはInstagramで発信しています。
各SNS媒体の特徴を理解して上手く活用しています。本校の応援団は、キラーコンテンツでありますから、このように先導を切ってマーケティング活動を行ってくれているのは学校全体に取ってもありがたい活動です。

【参考】下妻一高為桜応援団YouTubeチャンネル

本来はこの活動を学校全体で行わなければならないと思っているので、SNSがうまく取り込めていない点で、まだIBCプランニングとしては課題が残ります。学校の顧客である生徒向けに、学校に対する満足度調査を行っていますが、まずは顧客理解を進めないと、生徒が本校に期待するインサイトが分からないと思っています。インサイトの洞察をしっかりしたうえで、本校にしかできない価値提案をしていきたい。そのためには顧客である生徒の理解が必要で、下妻第一高等学校・付属中学校の熱狂的な顧客創造が重要だと思っています。

これから“営業”活動がさらに本格化しますが、私が花王で培った経験を活かし、本校の特徴や強みを発信して行き、学校PR活動をしていきたいと思います!

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