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取材が来るのはちょっとしたコツがある―『先読み広報術』より

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「宣伝会議のこの本、どんな本?」では、当社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

今回は、7月18日に発売した新刊『先読み広報術 1500人が学んだPRメソッド』(長沼史宏著)の「はじめに」の一部を紹介します。

7月18日に発売した新刊『先読み広報術 1500人が学んだPRメソッド』(長沼史宏著)

定価:2,090円(本体1,900円+税) 四六判 240ページ 詳細・購入はこちらから

 

「今月から広報を担当することになりました!よろしくお願いします」

ここ数年、若いビジネスパーソンの皆さんから、こんな連絡を頂戴する機会が非常に増えています。

十数年ほど前まで、「広報」は組織の中でマイナーな存在であり、知る人ぞ知る仕事だったと思います。広報活動に積極的に取り組む企業や団体は、かつてはそれほど多くはありませんでした。良い仕事をしていればいつか気づいてもらえ、評価されるはず。謙虚さを重んじる国民性から、ビジネスでの“自己PR”は日本人にはあまり向いていないと思われていました。

それが、新進気鋭の起業家が立ち上げたスタートアップを中心に、最近では中小企業においても、前のめりになって広報活動に取り組む企業や団体が増えています。海外で急成長を遂げたユニコーンやメガベンチャー、国内でも広報を重要視する著名な経営者の発言などにも触発されて、このムーブメントは日に日に大きくなっているのではないでしょうか。この書籍を手に取った皆さんの中には、会社の方針で急に広報担当に任命されたという方もいるかもしれません。

 

頼れる広報の先輩が足りない

私は、知る人ぞ知る仕事であったころから広報に携わってきたので、仲間が増えている近年の傾向はとてもうれしく、歓迎の気持ちで一杯です。一方で、新任広報の皆さんと話していて気の毒に感じることもあります。それは、かつての私のように、身近に広報の良き先輩がいない中、手探りで苦悩している広報担当者も増えていること。これは、広報職全体にとって最大のウィークポイントです。

広報を除いた総務/人事/経理/法務などのスタッフ系の部門には歴史があり、長い年月をかけて業界やビジネスモデル、組織の慣習などに応じた独自のノウハウを蓄積しながら進化を続けています。それと同時に各社にはレジェンド的な熟練者(スペシャリスト)がいて、後進の育成も継続的に行われています。

広報職の歴史はまだ浅いので、多くの広報スタッフを揃えている組織は大企業などに限られています。いわゆる「ひとり広報」「兼任広報」の方も多くいることでしょう。私たちの身近には、頼れる先輩である広報のスペシャリストや指導者が足りないのです。

私が広報担当に着任したのは2004年12月。この時は電子部品を手がける企業に所属していましたが、経営体制の刷新に伴って広報に力を入れていくことに。私は素人同然で配属されましたが、身近に経験豊富な広報のスペシャリストがいたわけではありません。経営者に発破をかけられながら、上司と一緒になって暗中模索の日々。色んな試行錯誤を重ね、時には遠回りもしながら経験知を高めてきました。

振り返ってみれば遠回りも良い経験なのですが、いつまでも時間のかかる育成方法のままでは広報職全体の発展につながっていきません。次代を担う若き広報担当の皆さんには、他のスタッフ系の部門と同じように良き先輩の指導のもとで、すくすくと育っていってほしいと思っています。

 

1500人超が参加した勉強会のノウハウを凝縮

2017年1月に「広報勉強会@イフラボ」という勉強会を発足させ、いままでに1500人以上の広報担当の皆さんに講義をしてきました。私が駆け出しのころの苦労や遠回りしてきた実体験を、私と出会った皆さんにはショートカットしてほしい。そして、将来的には私よりももっと高い次元で活躍できる広報担当者になってほしい。身近に経験豊富な広報のスペシャリストがいなくても、その役割は私が担えればという思いでスタートさせた勉強会です。

この書籍には、イフラボの講義でお伝えしてきたことをギュッと圧縮しています。インハウスの広報担当として、3つの事業会社で約20年の間に蓄積してきた私の広報ノウハウをまとめました。新任・ベテラン問わず、広報を志す幅広い業界の皆さんのスキルアップのお役に立つことができればうれしいです。そして何よりも、身近に広報の良き先輩がいない環境で日々奮闘されている皆さんの良き伴走者、パートナーのような存在になれればと思っています。

私が皆さんにお伝えしたいテーマは、「“お茶の間”にもリーチする!露出戦略から逆算した話題づくり」です。その時(瞬間)、メディアが関心を抱いているテーマを“先読み”する広報術(思考回路)を身につければ、全国紙やテレビで取り上げられるような“お茶の間にリーチする”話題づくりが可能になる。創業間もないベンチャーだろうと、中小企業だろうと、会社の規模や歴史は関係ありません。広報担当がメディアの関心テーマを“先読み”できるかどうかが重要なのです。

この書籍では「先読み広報術」と題して、以下の構成で具体的な手順や手法と、明日からすぐに実践できるノウハウを紹介していきます。また、巻末付録として、若手広報の皆さんからの30の質問に答えていますのでそこから読み始めてもいいでしょう。

 

各章で扱うテーマ

1.どんな話題が報道されやすいのか

2.メディアの思考や行動を先読みする方法

3.メディアに取材してもらうためのアプローチ

4.プレスリリースのつくり方と届け方

5.露出効果を増幅させるオウンドメディア・SNS運用

6.誰からも頼られる広報部門へステージアップする

 

ちょっとしたコツと機転で取材依頼が来る

2020年以降のコロナ禍によって、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。メディアが新型コロナウイルス関連の話題にしか興味を示さない時期もあったので、狭き門を突破するには本質的なネタの企画力が問われることにもなりました。そもそも、メディアはどんな話題を待っているのか?テレビ局にはどんな見せ場が必要か?その時々の旬に合わせることで報道価値が高まるメカニズムとは……。

メディアの気持ちや行動特性から考える“先読み広報術”で、露出戦略から逆算した話題づくりができれば、どんな局面であっても、見知らぬ記者から「ぜひ取材させてください!」という連絡が来るものです。

この書籍では、私の20年間にわたるキャリアの中で見出した、いままで誰も教えてくれなかった広報・報道のメカニズムをお伝えし、お茶の間にもリーチする話題づくりの極意を紹介していきます。行き当たりばったりな情報発信から卒業して、あらゆる時代・業界・シーンに対応できる広報のスペシャリストとして巣立っていくことを願っています。

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長沼 史宏氏

《著者》
長沼 史宏 (ながぬま・ふみひろ)
アステリア株式会社 執行役員コミュニケーション本部長
東北大学特任准教授(客員)・コミュニケーションアドバイザー
広報勉強会@イフラボ主催者

大手メーカーで10年以上、広報・IR担当としてのキャリアを積んだ後、2015年に新興IT業界へ転身。テレワーク、LGBT、FinTechなど旬の話題に絡めたPRを通じて“お茶の間”にリーチする話題づくりで実績を重ねる。最近では、技術の普及・生態系の保全・働き方改革に取り組む各種団体で理事などを務め、社会啓発につながるPR活動も展開中。2017年1月に開講した広報勉強会@イフラボでは自らが講師として200回以上の講義を行い、約1,500人の広報担当に、“お茶の間にリーチする露出戦略から逆算した話題づくり”の極意を伝えている。2023年4月から、東北大学のコミュニケーションアドバイザーを務める。