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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

広告好きな芸人が、広告から学んでいること(ハナコ・秋山寛貴)【前編】

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【前回コラム】乃木坂46の公式ライバル「僕が見たかった青空」はどんなグループ?(柳堀花怜・安納蒼衣)

今週のゲストは、お笑いトリオ・ハナコの一員として活躍する秋山寛貴さん。澤本さんの後輩のプランナー/コピーライター水本晋平さんも加わり、広告談義を繰り広げました。大の広告好きという秋山さんの心を震わせたCMとは?

今回の登場人物紹介


集合写真 (左から)中村洋基、秋山寛貴、水本晋平、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)
(左から)中村洋基、秋山寛貴、水本晋平、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)。

※本記事は2023年10月8日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

本人と喋れる場としての「すぐおわ」

澤本:はい、皆さんこんばんは。CMプランナーの澤本です。

中村:こんばんは、Web野郎こと中村洋基です。今夜は権八さんがお休みでございますね。さて、前にゲストで来ていただいた櫻坂46の藤吉夏鈴さんのマクドナルドのCMが公開中されていましたね、と。

澤本:そうですね。サムライマック、堺(雅人)さんが出ているCMに、藤吉さんに出てもらって。きっかけはこの番組ですね。

中村:なるほど。

澤本:ほら、こちらに来ていただいて喋ってみたら、すごくよかったじゃないですか。

中村:すごいよかった。もう本当に捉えどころのないアイドル感というか。

澤本:アイドルなのに、文学少女っぽい感じみたいな。

中村:そうですね。澤本さん大好きですね。

澤本:なんで、そういう感じを出していただけるものをね。

中村:わかりました。ちょっと気になる人は、サムライマックCMとかで検索したらね、出てくるかもしれないですね。でもこうやってテレビCMの出演者のつながりがこういうラジオ番組とかからやっぱりできていくっていうのを目の当たりにすると、すごいなと思いますね。

澤本:本人と喋れるじゃない、ここって。本人と喋ったらどういう声なんだなとか、こういうことできそうだなってわかるから、すごく助かりますよね。

中村:なるほど。そういう場にラジオがなってる。いいですね。

澤本:本当に助かってます、ありがとうございます。

中村:そして、今夜も素敵なゲストにお越しいただいております。お笑いトリオ・ハナコの秋山寛貴さんにお越しいただきました、よろしくお願いします!

秋山:よろしくお願いします。ハナコの秋山です。

中村:秋山さん来ていただいた理由は、先日行われたハナコの単独公演『はじめての感情』を澤本さんが見に行かれて、いたく感銘を受けたか受けなかったかわかんないですけど(笑)、それがきっかけで。

澤本:これ水本(晋平)が、水本っていうのはね、最近の若手クリエイターで特筆すべき優秀な男なんですけど、彼が絡んでいるんですよね。どういうふうな絡み方をしてるんですかね。

秋山:CMなどの仕事でハナコを何度か起用していただいていて、そこの現場によく水本さんがいらっしゃって。で、ちょっとお話できるようになってきたときに、お笑い好きと聞いて、僕も広告業界ってファンで憧れている業界だったんで、「ちょっと何か一緒にやりませんか」と、じりじりと近寄っていって、そして今回が「何かやろう」の1回目ですね。まだやんわりなんですけど今回は。すいません、見ていただいて。

澤本:いやいやいや。あのね、面白かったですよ。広告を好きっておっしゃってたから、それを念頭に置いて見に行ったんだけど、僕ら的に言う「タグラインもの」っていうの?落としのコピーが一発あって、それに対してストーリーをつけるみたいな、広告然としたようなインパクトも結構あって。

秋山:ありがとうございます。

澤本:このコピーに落としてる感じとかってこれ全然CMじゃんって見てて感じましたね。だからこういうやり方もあるんだなっていうものから、一般的なコントまでいろいろ結構な時間かけてたっぷり見せていただいて。なので面白かったですよ。

秋山:うわ〜、ありがとうございます。うれしい。

澤本:で、終わって「澤本さん、ハナコさんの楽屋に挨拶行ってくださいよ」って言われたけど、「いやちょっと待って」と、そういうとこに行くと大体緊張するじゃないですか。

中村:しますね、澤本さんはね。

澤本:大体いつも思うのは、みんなさ、お菓子持ってってんだよ。でも俺手ぶらだからさ。手ぶらで、知らない奴が並んでるわけ。挨拶の列に。

中村:知らないことはないでしょ。

澤本:なんか前の人が『VIVANT』(2023年、TBS)の太田さん(役の俳優)だったんだよ。太田さんというか飯沼(愛)さんだけど。それで「ハッカーと喋ってる!」って思ってるなかで、僕がソッと出ていったら、一瞬シーンってなって。誰だと、この人知らないぞっていう感じ。

中村:でも勇気を出していったと。

澤本:ただね、一応「知ってます」って嘘ついてくれたんで。

秋山:いやいやいや、嘘じゃない。お話は聞いてましたから。お会いしたのは本当にはじめてでしたけど、存じてました。もちろんです。

澤本:そこが一番緊張した。

秋山:あれ嫌ですよね、あの時間難しい。

澤本:だって並んでる人がさ、テレ朝の加地(倫三)さんとか並んでるわけよ。加地さんちょっと知ってたから、「あ、オッス」とか言われて、「お疲れさまです」とか言ってるなかで、本当に何か地味にリュック背負って。

中村:あはははは。

秋山:まさかそこまでの思いをさせてたとは、すいません。

中村:そういうコントができそうですけど。

澤本:そこの恥ずかしさだけ語ってるとそれで終わっちゃうんでもう。

とにかくコントが好きです!!

中村:ちょっと引っ張りましたが、そんなことでね、ハナコから今日秋山さんに来ていただいたんですけど、毎回ゲストの方に「20秒自己紹介」というものをお願いしておりまして、「すぐおわ」は広告の番組ということで、ご自身の自己紹介をラジオCMの尺20秒に合わせてやってくださいというコーナーです。

秋山:20秒。大体そうなんですねCM。

中村:テレビCMが15秒なんですけど、なぜか5秒多いという。

澤本:それもともと噂があって、日本にテレビCMっていうものが入ってきたときに、一分に何回CMを流そうか議論があったらしいんですよ。海外は意外と20秒なんですよね。日本だけちょっと欲張って、「4つに割った方がいっぱい流せるじゃん」って誰かが言ったことによって15秒になった説があって、そんときに3つになっといてくれたら表現楽だったんだよねえ、っていうふうに僕は聞いたけど、本当かどうかわかんない。でもそれで15秒として、文化が成立してるんですよね。

秋山:それ20秒の方が楽だっていうのは、やっぱ15秒は短すぎるってことですか。

澤本:短い。なんかやたら早口になったりする。その5秒あったらね。編集してて17秒になったら、これあと2秒どこ切るんだよみたいなことあるじゃないですか。でも早口で喋ると聞こえないって怒られたりするとか。あと5秒あったら絶対もっと面白くなるのになって常々思ってたんで。

中村:そんなわけで、その5秒がある20秒で、ぜひ面白い自己紹介を。

秋山:あの、たっぷり使えるみたいになってますけど、たった20秒ですからね。

中村:何でも構いません。

秋山:わかりました。

中村:ではいいですか?どうぞ!

カーン♪

秋山:お笑いトリオのハナコの秋山と申しまして、コントが大好きです。ほかに何が好きかを言うのがもったいないぐらいにもうコントが、コントだけが大好きで。この先やりたいことはMr.ビーンとコントがやりたいです。(イギリスのコメディテレビドラマシリーズの)『Mr.ビーン』が小さい頃から大好きで、スタジオコント、舞台コント、大好きです。コントが、コントが好きです。コントが好きです。コントが好きです。

カンカンカーン♪

澤本:すごい。1メッセージですね。

中村:1メッセージですね。広告感をちょっと感じましたね。

澤本:すごいすごい。そのあたりも勉強されていて、20秒でいっぱい詰め込んでもわかんないから。

中村:わかんないからね。とりあえずコントが好きなんだね。

澤本:でもなんか、CMだと連呼の回数が制限されててね。

秋山:えっ、そういうルールもあるんですね。

澤本:そうなんですよ。回数が多すぎると放送局が流してくれないんです。

中村:今日結構広告について語る回ですね。意外や意外の。

秋山:普段こんなに出ないんですか?

中村:広告の話ほぼ出ない(笑)。

全員:あはははは!

澤本:『Mr.ビーン』好きなんですか?

秋山:父親がVHSに深夜放送してた『Mr.ビーン』を録画してまして、それを小学生ぐらいの頃から見てて。普通のバラエティーも見てたんですけど、『Mr.ビーン』も好きっていうのはあんまりいなくて、同世代には。

澤本:じゃああのローワン・アトキンソンに憧れて。

秋山:はい。

澤本:面白いですよね。

秋山:面白いです。芸人やるようになって余計思いましたね。

澤本:僕も『Mr.ビーン』大好きなんですよ。

秋山:えっ、そうですか。

澤本:はい。結構ビデオ買いまくりました。

秋山:もう面白くて、『Mr.ビーン 』が。『Mr.ビーン』が好きだって言うとよく、ローワン・アトキンソンさんがやられてる「ミスタービーン!」をやりたいんだって言われるんですけど、僕がやりたいのはMr.ビーンの横にいる一般の方の顔をやるってことで。嫌がってるあそこの日本代表になりたい。

アラカルトからコース料理へ

中村:改めまして、先月行われたハナコの単独ライブ「はじめての感情」っていうこのタイトルにまつわる話とかも聞きたいし、昨年までずっと開催していた単独公演は「タロウ」っていう名前だったそうなんですけど。

秋山:今回が第7回なんですけども、年に1回開催してた単独ライブのタイトルが「タロウ」「タロウ2」「タロウ3」と、タロウで回数を数えてたんですけど、ちょっとリニューアルしたいなということになりまして。そして「はじめての感情」というタイトルになりました。このタイトルをつけるにあたって、ちょっと相談相手というか芸人や放送作家さん以外の方のエッセンスが欲しいなというので、先ほどもお話が出ましたけども、水本さんにご協力いただけないですかということで、こういうところの会議に、実は一緒に参加していただいたという。

澤本:実はその水本晋平さんに、今日来ていただいてます。

水本:はじめまして、水本と申します。よろしくお願いします。

澤本:ありがとうございます。

中村:いいですね。広告の話これだけして、広告の第一線級のプランナーが直接来てくれるって回もなかなかないんで。

水本:こんな小物な飛び入りゲストあります?

中村:小物じゃないでしょうが。「今日のスペシャルゲストは水本くんでーす!」っていうくらいの。ありとあらゆるでかい仕事してて、それこそこの番組のスポンサーでもあるソフトバンクのCMも手がけてるんですね。

水本:やめてください。

中村:せっかくなんで水本くんの20秒自己紹介も。

澤本:あははは。

中村:ちょっとやってみます?

水本:…いいんでしょうか?

中村:はい。では水本くんの20秒自己紹介、どうぞ。

水本:秋山さんと同じ、31歳。CMプランナーの水本と申します。澤本さんの下で、ソフトバンクさんやサントリーさんのCMを作らせていただいたりしております。見た人がしょうもないなと思ってくれる広告が好きで、とにかくお笑い芸人の人を尊敬して、日々暮らしております。よろしくお願いします。

澤本:時間完璧だね。

中村:隙がない、よどみがない。

澤本:そう。そして澤本さんの下だとか入れて、ちゃんといろんなね。

中村:お笑い芸人まで立ててましたよ。

澤本:ね、これ完璧じゃない。

秋山:恐ろしい。

澤本:本当恐ろしいですよ。

中村:可愛げがない。可愛げがないね。

全員:あはははは!

中村:じゃあ改めて、ハナコの単独ライブのネーミングやプランニングを考えたときの設計とかをちょっと教えてもらってもよろしいですか。

水本:さっき秋山さんもおっしゃってましたけど、いろいろお話させていただくなかで、単独ライブを、今までもすごく素敵だったんですけど、それとはちょっと違った見せ方ができないかなっていうところでご相談いただいて、最初に「はじめての感情」というコンセプトを提案させていただきました。

澤本:これ水本なんだ。

水本:そうなんです。

澤本:へえ〜、立派だね。

水本:うれしい。澤本さんに褒めていただいて。

秋山:他の芸人さんの単独ライブとか見るとテーマがはっきりとくくられてたりとか、いろいろあるんですけども、ハナコは結構いろんなことをしていて、ハナコといえばこのパターンみたいなのが少ない方なんですよね。いろいろとやってしまうタイプで。それをご相談したところ、それなら感情というくくりであれば自由度も高いしいいんじゃないか、といった感じでしたよね。

水本:はい。ハナコのみなさんがネタを考えるときに、何か1個あえて制限になるものが作れるといいかなと思って。考える幅は狭めすぎないんですけど、「感情」という軸を1つ作ることによって、ライブを見終わった後に「面白いコントを見た」だけじゃなくて、「はじめての感情にたくさん出会えたな」って感じてもらえるといいですよね、みたいなことをお話させていただいて。

澤本:それとてもいいオリエンをしたってことだよね。

中村:なるほど。たくさんのコントありきでそれに対してネーミングするっていうことじゃなくて、逆にコンセプトを水本くんが作ってんだ。そういう順番で。

水本:はい。

中村:かっこいいですね〜……。

澤本:それすごくいいよね。

秋山:できないっす。

澤本:できないよね。なんかいい具合のとこだもんね、「はじめての感情」とかってね。見終わった読後感でもいいしそのコントの題材としてでもいいし、両方できるしね。

中村:ちなみに何でその「はじめての感情」っていうのが降ってきたんですか。

水本:ハナコさんの単独ライブは過去何回か遊びに行かせていただいてたんですけど、やっぱりバラエティーに富んだネタをやられてるっていうのが魅力だなと思っていて。「ハナコといえばこうだよね」って括りすぎないというか。いい意味で「ぽさ」がないというか。この人が絶対大ボケみたいなのもなくて、3人のキャラクターもネタによってどんどん変わっていきますし。

秋山:そうですね。

水本:なので、コントのジャンルとかテーマに対して制限をかけるよりは、1つの軸によって制限をつくることで、見た人の読後感にフォーカスした方が、ハナコさんらしくなるなと思って。X(Twitter)でファンの方が、すごくいい風に言ってくださってたんですけど、「今までの単独ライブが、アラカルトですごいおいしいものをたくさん食べてたとすると、今回のライブは、コースメニューのように楽しむことができた」って。

澤本:どうでした?制限かけられて。

秋山:そうですね。すごくやりやすい上にイメージもちょっと変わっていいなという感じで作り始めたんですけど、意外とそれぐらいの制限でもネタを書いているうちに、「はじめての感情」というタイトルが自分の中に入ってきて。「このコントのなかでそういった場面はどこだろう」とか、「はじめての感情」を起点に案出しをしたこともありましたし、いろんな角度から制限というかテーマを感じているのがすごい新鮮でした。ベタに自分の実体験で最近あったはじめてのことといえば、まず赤ちゃんがというか息子がまだ2歳ぐらいなんですけど、そのことを入れようかなとか。ネタの設定の探り方がちょっと変わりましたね。

澤本:でもそれね、それこそ広告の話でいうと、お題があってお題について考えるっていう、ある種制限があって、その制限の中で考える競技っていうのが広告なので、その広告の考え方、脳の働き方を、強制的に秋山さんにさせてるってことだよね。

水本:そうですね。クリエイティブディレクションというと大層ですけど、「こっち側に行くといいんじゃないですかね」って。単独ライブに「人格」を持たせるじゃないですけど、こういうライブだったなっていうのが、「人」っぽく感じられるようなことができるといいなと思って、そういうお話をさせていただきました。

秋山:ここも、結構僕の理想通りだったんですけども、組み方というか。やっぱ大きなところでいうと東京03さんの単独ライブでオークラさんという放送作家さんとかとタッグをガッツリ組んでいて。オークラさんはライブ演出という感じなんですけど、ハナコの単独ライブはそういう人もいないんです。僕と相方の岡部(大)の主に2人で演出もしますし脚本もしますしという感じなんですよね。だから演出を担ってくれる方を探すというよりは、外からハナコを見てイメージをもっとはっきりさせるようなヒントをいただいたり、魅力や武器を教えていただいたり、「ここを今回は見せてみませんか」という助言をいただきたかったんで、まさにもう先ほど言っていただいたような意見をいただいたり相談したりがもう楽しくて楽しくて。ずっとカフェで喋ってました。

中村:いいですね。

これどうやって撮ってるんだ!?

澤本:でも秋山さんは広告もすごくお好きっておっしゃってたじゃないですか。

秋山:そうなんです。水本さんがパーソナリティをされていた、それも広告の話とかをするラジオ番組に呼んでいただいたり。

中村:へ〜、そんなのあるんですか。

水本:東京コピーライターズクラブ(TCC)が、渋谷のラジオというコミュニティラジオでずっと番組をやっていまして。コピーライターがリレー的にパーソナリティを務めているんですけど。

中村:え、すごい。

水本:1時間僕の身の上話をしてもな……と思って、「ちょっと話したい」とお呼びして、そこで結構コピーの話とかいろいろさせていただいて。

秋山:そのとき話したんですけど、汐留にある「アドミュージアム東京」。フラッと引き寄せられて。「なんだこの面白そうな空間は!」って。

澤本:どうやって知ったんですか?

秋山:日テレが近くにあるので、多分仕事で行ってて、フラッとその近くを通ったときに、「これは見なきゃ」と思って吸い寄せられて見てみたらもう面白くて面白くて。もともと広告が好きだったんですけど、そこにあったものを見てると、おこがましいですけど、「あっこれ、めちゃくちゃいい30秒コントじゃん」みたいなのとかもあったりして、それをその後もう芸人に言いふらしたりとか。覚えているのだと、すごく妙な体を窮屈そうにたたんだフォームで、ゴルフを打っているみたいなシーンがあって、「なんだろう、この面白フォームのゴルフの人」と思ったら、お家で練習してるんですけど自宅が狭すぎて、そのフォームになってしまっているっていう、不動産のCMなんですかね(注:松平不動産のテレビCM「コンパクトゴルフ」篇)。あれはもう落とし方が、「これ30秒のコントだったら大ウケしてるだろうな」みたいな。「ネタじゃん!」と思っちゃって。そういう発見がひしめいてたんでその場に。こんなヨダレ垂らす場所ないなって、いろいろ見て。

中村:そんな秋山さんが、テレビCMでも他の広告でもいいですけど、好きな広告とかってあるんですか?

秋山:いろいろあるんですけど、グッとさらに興味を持ったというか、「うわ広告すげえ」と思ったのがあって。YouTubeコントを週に2本ぐらい更新してた時期があったんですけど、コロナ禍になってしまってあんま接触して撮れないなみたいになって、いろいろリモートでコントをやってみたりとか。人と会わずにとかいろんな案を出してたんですよ、苦しみながらも。そのときに、テレビで見た飲料のCMに心をつかまれまして。合唱を一人ひとり自分のスマホで自撮りしたような映像で、1人で歌ってるんですけど、その一人ひとりの映像が何十個にも広がって合唱になっていって、それがすごく楽しそうで(注:大塚製薬/ポカリスエット「ポカリNEO合唱」篇)。最後はその商品カラーである青の空になって終わるっていうのを見たときに、何か同じようなところで悩めてるような気がして。広告業界とかも正解を見せてくれるんだというか、そういう喜びがあったりして、より好きになって見はじめましたね。

澤本:すごくいい褒め方をしてくれるね。

全員:あははは!

秋山:あとついでに。鳥肌が立ったCMがあったんですけど。ワンカットで、それも学校で。教室の廊下からたしかはじまるんですけど、主人公の女の子が人混みの中を走っていって、カメラがその子の背中をグアーッて追っていくんですけど、実写なのに床がうねったり花びらの中を走ったりとか、すごい景色のなかで体育館まで行って、同級生たちと会って踊るというっていうラストで(注:大塚製薬/ポカリスエット「でも君が見えた」篇)。「これどうやって撮ってるんだろう」っていうワクワク。

澤本:はいはい。

中村:あれはもう。

澤本:監督は柳沢(翔)さんだよね。

中村:有名なやべーやつっていう(笑)。

全員:はははは!

中村:やばいやつだ、すごいの出たわって業界は多分みんな思ったんです。

秋山:そうなんですか。

中村:もともと監督が柳沢翔さんっていう、「どうやってこれ撮るんだ?」みたいなものを連発してる感じの人で。

秋山:ああいう惹きつけ方もあるんですね。単純にどうやって撮ったんだろうという感動というか。もうすごい小さいものとかでいうと、いつか山手線に乗ったらつり革が駅伝のたすきになってて、そういうのとかはメモしたりしてますけど。「うわ、やられた!」みたいな。

澤本:そう言っていただけると少し広告やっててよかった感がありますね。

中村:ね。

<次回につづく>

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