味の素は4月18日、中華だし「丸鶏がらスープ」のロゴが登録商標となったと発表した。一度拒絶査定が下ったものの、2024年2月に再審、同6日付で登録に至った。市場シェアや2011年〜21年にかけてのテレビCMをはじめ、ネットや雑誌での広告出稿、ブランド想起などの消費者調査の結果が後押しとなった。
査定が覆った理由は
「丸鶏がらスープ」のロゴは、「丸鶏」と「がらスープ」と商品名を2行にしたレイアウトで、書体も隷書体の一般的なもの。2021年6月に出願し、当初は、同商品のロゴは商品の内容(品質)をふつうの方法で表示したものとして、商標としての登録を拒絶されていた。
査定が覆る後押しとなったのは、市場シェアや広告出稿の期間や規模、消費者アンケートの結果などだ。それぞれの資料を踏まえ、特許庁はロゴが味の素の「丸鶏がらスープ」を表示するものとして広く認識されているとし、登録に至った。
広告では、2011年〜2021年にかけて全国でテレビCMをオンエア。同期間中の出稿金額は22億円を超えるといった資料が検討材料となった。18年、20年、21年にはネット広告を約4000万円出稿。新聞広告や雑誌広告も、2011年〜19年にかけて55回掲載していた。
市場シェアでも、インテージの調査では「丸鶏がらスープ」の2011年度〜2016年度の販売額は約216億6000万円で市場シェア31%、17年度〜20年度は約187億1000万円で同30%だった。23年1〜12月の累計販売金額でもトップシェアという。
ブランド想起調査も実施した。丸鶏がらスープの文字やロゴから「1つの会社の調味料が思い浮かぶか」を尋ね、「思い浮かぶ」とした人には自由回答で名称の記入を求めた。回答できなかった人にはさらに選択肢方式で質問した。結果、ロゴを提示したグループの500人中、「1つの会社が思い浮かぶ」とした人は59.8%。そのうち、味の素や同社の関連商品を自由回答で答えた人は90.5%に上ったという。「2つ以上の会社の調味料が思い浮かぶ」とした人は6.6%だった。
味の素グループは、2030年までの経営計画で、知的財産など無形資産への投資強化を掲げている。「丸鶏がらスープ」に関しては、食品スーパーのヤオコーに対し、鶏がらスープや中華だし商品で「丸鶏がらスープ」の名称をプライベートブランド(自主企画品)で使用しないよう申し入れ、2022年にヤオコーが承諾した経緯がある。
同グループは今後も、「商品やサービスのブランドの社会的、経済的価値を向上させる」として、ブランドの周知、著名性の立証や、知的財産権の確保に努めるとしている。







