広告会社の壊しかた ―2030年のクリエイティビティモデルへ

先ごろ発表されたACC賞でTBWA\HAKUHODOは2つのグランプリ、4つのゴールドを含む12の賞を獲得。2024年のカンヌライオンズで日本勢唯一のゴールド獲得(マクドナルド「スマイルあげない」)。マーケティング効果を重視することで有名なエフィー賞(APAC)も2年連続で受賞した。
 
こうした成果の背景には、同社が挑むエージェンシーモデルの拡張があるという。TBWA\HAKUHODOは広告を超えてコンテンツ、プロダクト、ビジネス開発に乗り出し、同社が手がけた猿払村の廃棄貝殻をアップサイクルした「ホタメット」や日産・赤ちゃん本舗と共同開発したロボット「イルヨ」は海外メディアでも紹介されている。
 
TBWAが掲げるDisruption(破壊的創造)には、広告業界の未来があるかもしれない。今日にいたる変革を現場で主導してきた同社のチーフ・クリエイティブ・オフィサー、細田高広氏にTBWA\HAKUHODOが目指すところについて聞いた。

イメージ バナー 広告会社の壊し方

広告業界は正しい方へ向かっているか

今日スマホを開いて何度、小さな「×」を親指で消そうとしましたか?最高精度のデータとAIを駆使した最適化。その果てにたどり着いたのが、親指を弄ぶだけの広告だとしたらどうでしょう。広告業界はその知識と技術を総動員して、広告が嫌われる時代をつくろうとしている。皮肉な話ですが、予算効率を極限まで高めてクライアント企業に奉仕するという使命を果たそうとする限り「やむを得ない」ことです。

ところで私たちTBWAは、この「やむを得ない」という結論が大嫌いです。だからこそ思考の行き止まりを破壊して創造するDisruption(ディスラプション)という方法論を磨き上げ、ここ数年はそれを自分たちに向けることに挑んできました。広告の創造性は社会の意味ある変化のために役立つはず。そう信じて広告会社を退屈にする根本原理を破壊し、新しい時代のスタイルを模索してきたのです。

この短い文章では、私たちが現在進行形で挑んでいる変革についてご紹介します。まだまだ道半ばですが、何かひとつでも参考になる点があれば幸いです。

「代理業」の限界を破壊せよ ―共創ビジネスの可能性

代理業はリスクの低い業態です。経済がひとつのカジノだとしたら、長いこと広告パーソンはテーブルにすら座っていませんでした。テーブルで自ら賭けるプレイヤーたちに、ドリンクを届けてチップをもらっていたわけです。

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