「パーパス」と聞くけど具体的にはわからないという方、これから学びたい方向けに基礎を紹介します。パーパスについての2冊目の著書『企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践』を刊行したばかりの齊藤三希子さん(エスエムオー CEO)がわかりやすく解説します。
「マーケティングの4Pに新しいPを追加しました。私が追加した5つ目のPは“Purpose”です」――フィリップ・コトラー (マーケティング分野の権威)
「企業にパーパスがなければ、長期的な成長は持続できない。」――ラリー・フィンク(世界最大の資産管理会社 ブラックロック社のCEO)
「今日、僕は『パーパス』について話します。しかし“自分のパーパスを見つけなさい”というような、よくある卒業式スピーチをしたいわけではありません。僕らミレニアル世代は、そんなことは本能的にやっているはずです。そうじゃなくて、今日する話は『自分のパーパスを見つけるだけでは不十分だ』ということです。僕らの世代にとっての課題は、『誰もが人生の中でパーパスを持てるような世界を創り出すこと』なのです」――マーク・ザッカーバーグ(Meta (旧Facebook)CEO)
マーケティングの権威、投資家に強い影響力を持つ経営者、そして働くミレニアル世代を代表するリーダー。彼ら皆が、今後の企業にはパーパスが重要であるという共通認識を抱いています。パーパスは経営、ひいてはブランディングやマーケティングにおいて、この10年の重要なテーマであることは明白です。
本記事では、ブランディングとマーケティングの観点から、パーパスとは何か、そしてパーパス経営、いわばパーパスを軸にしたブランディングの仕組みについて解説します。
パーパスとは
辞書による“purpose”は、大きく分けて2つの意味が載っています。第1は「目的」と「狙い」、第2は「〔存在などの〕理由、意義、意味」。企業がブランドのパーパスについて話す場合、この2番目の意味合いが多分に含まれていることは、パーパス・ブランディングの元祖であるサウスウエスト航空が「パーパスは、“私たちはなぜ存在するのか”を最もシンプルかつ純粋に表現したものだ」と説明したことからもわかります。
そして、辞書には載っていない、第3の意味合いもあります。マーク・ザッカーバーグがハーバード大学にてパーパスについての講演をした際、「パーパスは自分以上に大きい何かに関わり、必要とされ、より良い将来のために働きたい、という感覚であり、パーパスこそが真の幸せをつくるものだ」と語りました。つまり、目的と存在理由に加え、「志」や「大義」のような意味合いも含んでいます。