東京都内の中小企業の技術や素材などをテーマに、新規用途開発とビジネス全体のデザイン提案を募るコンペ「東京ビジネスデザインアワード」(東京都主催、日本デザイン振興会運営)の2024年度の結果が2月6日、発表された。
最優秀賞の「リング製本とオンデマンド印刷技術を応用した未開拓領域への製品提案」。
13回目を迎える今回は130件の提案が全国のデザイナーから寄せられ、最優秀賞には藤井誠氏(コンセプトプランナー/デザイナー)と山田奈津子氏(デザインアーキテクト/一級建築士)による「リング製本とオンデマンド印刷技術を応用した未開拓領域への製品提案」が選出された。
優秀賞は2件で、清水覚氏(ビジネスデザイナー)と井上弘介氏(デザイナー/中小企業診断士)の「切削加工技術を軸とした事業再創造」、佐藤宏樹氏(プロダクトデザイナー)の「『伸びる本革ベルト』の技術を活用した家具ブランドの提案」がそれぞれ選ばれた。
優秀賞の「切削加工技術を軸とした事業再創造」。
優秀賞「『伸びる本革ベルト』の技術を活用した家具ブランドの提案」。
最優秀賞は、富士リプロ(千代田区)によるリング製本とオンデマンド印刷のワンストップ提供体制を活かし、新領域のプロダクトを提案したもの。
優秀賞では開工精機製作所(板橋区)が持つ金属切削による高精度な軸物加工技術から、筆記具「SHAFT CRAFTS」を提案した。自動車用部品製造で培った高精度嵌合と金属削り出しならではの意匠性を強みとし、新たなビジネスモデルとしてBtoC市場での販売とBtoB向け加工サンプル提供を同時展開。全国の金属切削を行う町工場と連携し、共創プラットフォームを形成するというアイデアも含めた提案だった。
もう1件の優秀賞では長沢ベルト工業(葛飾区)が持つ、ベルトに用いられる伸縮できる本革の加工技術を活かし、スツールを提案。長年ベルトを作り続けてきた中で培われた技術力とブランドを広げるためのコンセプトプロダクトとして、伸縮するレザーという特徴的な素材を活かしたテンセグリティ構造を取り入れてデザインした。
その他、「テーマ賞」を受賞したのは以下のとおり(敬称略)。
・「貼る」を文化にする新製品の提案/清水覚(ビジネスデザイナー)・清水彩香(販売スタッフ)/テーマ「唯一無二の立体感を持つ極厚・凹凸加工技術」東和マーク(北区)


