カメラを取り巻く「人生のすべて」を描きたい
山根
:次は、キヤノン販売の「ただ一度のものが、僕は好きだ。」です。こちらもいろんなインタビューに答えていらっしゃると思いますが、このコピーを書かれた背景を教えてください。
ただ一度のものが、僕は好きだ。
陽が昇り、陽が沈むように、青春は訪れ、通りすぎて行く。
きょうという日は、ただ一日。 いまという時は、ただ一瞬。
ただ一度のものに、夏の甲子園大会がある。
勝者は1チームだけ。「敗れ去るものたちのドラマ」と言った人がいる。
出場する彼らにも、レンズで追うあなたにも、セカンドチャンスは、
まず、無いと言っていい。だから、胸をしめつけるのだ。
(キヤノン販売/1978年)
秋山
:これは、甲子園(全国高等学校野球選手権大会)の協賛をしているキヤノン販売のために書いたコピーでした。野球を前提としながらも、野球を狭いものにするのではなく「カメラを取り巻く人生のすべて」にしたい、と思ったんですね。だから野球のアクションや報道写真ではなく、試合前にグラウンドをつくっているビジュアルにしたんです。