3月8日は国際女性デー。女性差別を払拭しジェンダー平等を実現することを目的に国連により1975年に制定され、今年でちょうど50年を迎えます。この国際女性デーに合わせ、本記事では広告の中のジェンダー表現について考えます。メディアと広告の中の有害なステレオタイプ(固定観念)を撤廃するための世界的な取り組み「アンステレオタイプアライアンス」の日本支部で活動する市川桂子氏に話を聞きました。
「問題だとわかっていないことが問題」
アンステレオタイプアライアンスが制作した1本の動画がある。シーンは広告撮影のためのオーディション。女性や有色人種男性の候補者が次々とオーディションを受けにやってくる。最初に登場する女性の役どころは「受付嬢」「母親」、有色人種男性は「売店の店員」。アイロンがけする母親役の女性には「もっと楽しそうにして」、店員の役を演じる男性には「インド訛りで話してくれる?」と指示が飛ぶ。
動画の後半では、外見で「セクシー女優」「お手伝いさん」などの役どころを常に“当てがわれがち”な役者たちが登場し、本当はもっと別の輝くスキルを持っていること、それを活かした異なる役を望んでいることが明かされていく。
広告の制作者の多くが昔ながらのステレオタイプに縛られていることに気づかずに、無意識に広告を通じてステレオタイプを再生産している。その問題に気づいていないことが問題なのだと、この動画は指摘している。
世論調査会社イプソスの2018年のグローバル調査によれば、10人のうち7人が「広告は自分たちの住む世界を反映していない」と感じている。男女共に過半数が「メディアは男性・女性を決まったジェンダー役割に当てはめて描写」していると回答し、45%が「依然としてジェンダー差別を助長するような広告を目にしている」と答えた。