今年の見どころは?「SXSW2025」AIとクリエイティビティの交差点を探る

アメリカのテキサス州・オースティンで、2025年3月7日(現地時間)から9日にわたり開催されるクリエイティブの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2025」。現地で参加するデザインファーム tactoのCo-founder/Strategistの中島琢郎さんが、事前に抑えるべきポイントと注目セッションを紹介する。

「クリエイティブビジネスの短期留学先」

世界最大級のクリエイティブ・イベントであるSXSWは、音楽や映画などのカルチャーから最新テクノロジーを活用したビジネスまで内包する、ビジネスパーソンにとって最高のインスピレーションを得られるソースのひとつです。

これまでのやり方にとらわれないアプローチを求める人たちが世界から集うことから、

クリエイティブビジネスの短期留学先

と言っても過言ではないでしょう。

特に近年、生成AIの進化はクリエイティブ業界に大きな影響を与えており、SXSW2025においてもAIと創造性の関わりは重要なテーマとなっています。本記事では、

AIとクリエイティビティの最前線

を、SXSWを約10年間ウオッチしてきた筆者が現地から分析しお届けします。

なぜAIとクリエイティビティなのか?

SXSWでは2000年代後半から、ソーシャルメディア、モバイル、xR(VR/AR)などのトレンドが取り上げられ、2010年代には「Intelligent Future」トラックが設けられ、人工知能や機械学習、IoTのセッションや展示が目立ちました。

この頃、日本企業の存在感も強く、たとえば2019年にはソニーが「Technology×Creativity」をテーマにした大規模展示「WoW Studio」を公開し、人間の創造性の拡張をさまざまなプロトタイプを通して世界へ示していました。

そしてコロナ後、画像生成AIや大規模言語モデルが世界で一般公開され、2023年からは、

生成AIの活用

が最大のテーマのひとつとなり、SXSWでの存在感も増しています。今年は1500以上あるセッションのうち、約17%がAIに関連しています。

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     タイトルやテーマに「AI」を含むセッション数の推移。2025年2月中旬時点の数値(資料は筆者作成)。

タイトルやテーマに「AI」を含むセッション数の推移。2025年2月中旬時点の数値(資料は筆者作成)。

私は現在、生成AIによるアイデアの発想に関する研究及び事業を行っています。よって昨年からは「AIとクリエイティビティ」というテーマで厳選したセッションやワークショップに参加しています。EXPOや華やかな企業ブースは、ほんの少し立ち寄る程度です。

というのも、セッションだけで1500以上もあり、「解」より「問」が議論されるSXSWにおいて、限定したテーマに対する自分の中の仮説をアップデートし、いろいろな人と意見交換しながら巡るのが、最も効率の良いインプットになるからです。

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