広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、地方自治体のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のスキル形成について考えているのでしょうか。本コラムではリレー形式で、自身の考えをお話いただきます。小野市・常深千子さんからの紹介で今回、登場するのは、奈良県生駒市 広報広聴課の村田 充弘さんです。
Q1:現在の仕事内容について教えてください。
はじめまして、奈良県生駒市の村田と申します。
生駒市の広報担当になって12年目です。広報紙の制作といった広報広聴業務を7年経験し、現在はシティプロモーションを担当しています。
市民PRチーム「いこまち宣伝部」と協働したSNS運営、プロモーションサイト「good cycle ikoma」、いこまちマーケット部、動画作成、広告運用などが主な業務です。
Q2:貴組織における広報部門が管轄する仕事の領域について教えてください。
シティプロモーション以外に、広報紙や市ホームページ、メディア対応、危機管理、広聴など広報広聴に関わる全般です。
課のVMVに掲げているのが「多様なコミュニケーションのきっかけをつくり、より良い暮らしを叶えるサポートをする」。生駒市の魅力を広く届けるだけでなく、生駒の多様なヒト・モノ・コトがつながるような発信やコミュニケーションを目指しています。
奈良県生駒市の街並み。
Q3:ご自身が大事にしている「自治体広報における実践の哲学」をお聞かせください。
「一人でがんばりすぎない」ということです。
私には広報のセンスがあまりないと思っています。
斬新なアイデアを出したり、きれいな写真を撮ったりすることは得意ではありません。センスを後天的に磨くことは怠らないようにしていますが、全国の自治体や同じ職場には尊敬できる広報担当者がたくさんいて、自分の不甲斐なさにくじけそうになったことは幾度とあります。
それでも、12年間、前向きに広報を取り組んでこられたのは、市民の皆さんや職場のメンバー、全国の広報担当者など、たくさんの人に助けてもらえたからです。
立ち上げから関わる市民PRチーム「いこまち宣伝部」は、10年で150人が参加しています。行政と市民で3,000件以上のまちの魅力を発信してきました。これは行政だけでは絶対に達成できなかった結果です。また、いこまち宣伝部やいこまちマーケット部といった市民と協働した活動から「まちの友人」が増え、私自身が困ったときや力を借りたいときに頼れる関係が地域にたくさんできました。
いこまち宣伝部10期生(現役生)。
庁内の仕事においては、私一人や広報広聴課だけで進めすぎないように心がけています。同じ課のメンバーや事業担当部署との対話をできるだけ増やし良好な関係性を築くことで、多様なプロモーションの企画やアイデアが生まれ、まちの魅力の創出や情報発信の量や質の向上につながると信じているからです。


