2025年4月に博報堂と博報堂DYメディアパートナーズが統合し、新・博報堂としてのスタートを切った。博報堂DYメディアパートナーズは博報堂、大広、読売広告社の経営統合を受けて、2003年に3つの広告会社のメディア機能を統合する形で設立された会社だ。新たな経営体制となった博報堂だが2025年4月1日から、代表取締役社長に名倉健司氏が就任。広告・メディアビジネスが大きく変化するなか、名倉氏はこれからの博報堂さらには総合広告会社のビジネスモデルを、どのようにアップデートしようと考えているのだろうか。
博報堂DYメディアパートナーズ統合の背後にある、最大の目的とは?
━━社長就任に際して、どのような方針を掲げましたか。
博報堂と博報堂DYメディアパートナーズが統合する、特別なタイミングで社長を仰せつかりました。まずは統合した意味を十分に発揮し、統合したからこそ新たに提供できる価値を明確に示していく必要があると考えています。
私たちはこれまで“広告業”を生業とし、コミュニケーションをつかさどる事業を通じて、得意先や生活者に価値を提供することで、成長してきたわけです。しかし昨今は得意先の事業目標に寄り添う中で、得意先の抱える課題が複雑化・複層化しているのを感じます。私たちが提供すべき価値も、アップデートが求められているのです。
リアルな場や体験と、デジタル上の体験と、企業やブランドと生活者の接点が多様に広がる現代においては、かつての広告会社がしてきたような、広告やメディアという限られた生活者インターフェースを中心とした提案だけでは、解決できる課題が限定的になってしまいかねません。
複雑化・複層化した課題に解決策を導き出すためには、デジタルを中心としたデータ、なおかつ各種の生活者接点で得られるデータを統合し、活用するマーケティングを強化する必要があるのです。それによってフルファネルのマーケティングをサポートする体制を再構築する。博報堂DYメディアパートナーズ統合の一番の目的は、ここにあります。