広島県観光連盟、電通総研、早稲田大学、NTTコミュニケーションズ、インテージの5社は、データを活用した観光マーケティングの実証実験を2025年3月から広島県で実施してきた。実証実験で得られたインバウンド観光客の動態把握をこのほど発表した。
調査によると、全国の観光地と比べて広島はイタリアやスペインの来訪率が多いことがわかった。また同国の広島への日帰り来訪者は30%程度。訪問率は高いものの宿泊率が低く、宿泊アプローチをすることで宿泊人数を伸ばせると分析する。ソーシャル上では宮島エリアは静かな雰囲気の評価が高い一方で、宿泊施設の選択肢が少ないなどの声が挙がっており、このようなポイントを改善することで宿泊者の増加につながるとみている。
また宿泊率約70%を分析すると、観光客の滞在場所データにより「平和記念公園、原爆ドーム、広島美術館」エリア、「厳島神社」エリアに多数滞在していることがわかっているが、その他エリアへの周遊に課題があると指摘。宿泊場所は広島市内に偏っており、三原市、尾道市などの宿泊人数は少なく、広島市外に泊まるための誘致が重要になってくる。
「ソーシャルデータの分析から、宮島・厳島神社をはじめ、原爆ドーム、平和記念公園、おりづるタワーなどが特に多く投稿されており、インバウンド観光客の訪問が確認できた。また、広島城やお好み村など市内の他スポットも含め、多様な観光行動が見られる一方で、県内全域への広域周遊は現状では限定的。また、代表的な観光地以外では、尾道での海辺の景色やサイクリング、西部の加計での里山の歴史的景観やローカルな雰囲気を求めて訪れるインバウンド観光客も一部確認されている」と電通総研は分析する。
