デジタル広告市場で拡大が顕著な3つの領域とは?
──DoubleVerifyの今年度の注力領域やトピックとなる事象を教えてください。
ダン:デジタル広告の市場は拡大を続けていますが、中でも拡大が顕著な3つの領域があり、私たちが注力しているのはこの3領域になります。
拡大が顕著な領域の1つ目が「キュレーテッド・インベントリー」です。プレミアムでクオリティの高いメディアを、パブリッシャーから直接プログラマティックで購入する動きが、広まっています。
1つ目は「ソーシャル」です。ますます消費者はより多くの時間をソーシャル空間で過ごすようになっているため、この領域は引き続き成長しています。
そして3つ目が「CTV」です。現在、CTVや動画配信サービスは、デジタル広告の分野で、非常に大きな成長を見せています。
領域としては、これら3つに着目しつつ、事業全体としてはプロテクションからパフォーマンスへと提供価値をシフトさせてきています。当社は、アドベリフィケーションツールを通じた、メディアプロテクションの事業で成長を遂げてきましたが、そこからパフォーマンスを最大化する支援へと進み始めています。
昨今、デジタルマーケティング向けAI(人工知能)による最適化ソリューションであるScibidsやマーケティングアトリビューションのRockerboxの買収によって統合的なマーケティング投資の配分を最適化し、効果を最大化することに貢献できるようにもなりました。
──日本市場ではまだまだマーケターにもパフォーマンスに着目できていないのではないかという印象があります。
ダン:日本のマーケターはパフォーマンスよりも効率にフォーカスしているのではないかと思っています。メディアのクオリティを重視しているので、どの広告枠に出稿するのかが判断のポイントになるこうした状況においても、ScibidsのAIを活用して広告配信を最適化する機能が意味を持つと考えています。
実際、Scibidsを活用してキャンペーンを行った際に、広告投資の回収率が400%向上した事例もあります。クオリティを重視する場合でも、私たちのサービスを用いればコスト削減とクオリティ維持を実現しながらパフォーマンスも表現できると考えています。
武田:日本市場の広告主は、テレビの時代からプレミアムなものしか求めていない。最近わかってきたのですが、その一方で効率もすごく追い求めています。Scibidsが使えるようになったことで、プレミアムな広告のバイイングと効率性を両立できるようになったのですが、これは日本のマーケターにも受け入れられると思います。当社はこれまでブランド保護やブランドセーフティといった面から価値を提供してきました。そこにScibidsやRockerboxの買収によってパフォーマンス面でも、マーケティング活動の上流からも貢献できる環境が整ったと考えています。
──注目の領域のひとつ挙げたCTVについて、DoubleVerifyではどのようなサービスを提供していますか。
ダン:CTVの広告枠は、広告主の需要も多いのですが、供給量が少ない状況にあります。デマンドがサプライを上回っているため、広告枠の価格上昇が起こり、この状況はフラウドにとっても非常に魅力的なものになってしまっています。私たちは日々アドフラウドについて監視を行っていますが、CTVへの広告出稿をターゲットにしたフラウドを日常的に確認しています。
私たちがこれまで行ってきたブランドセーフティやブランドスータビリティ向けのサービスに加えて、パフォーマンス向上に対する取り組みを組み合わせることによって広告主が求めるCTVへの広告投資をより意味のあるものにできると考えています。

