7月12日から、北浦和にある埼玉県立近代美術館でアーティストデュオ「Nerhol(ネルホル)」の新作展「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」が始まる。
《Cornus florida linn》2025 年|©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
Nerholは、グラフィックデザイナーの田中義久氏と彫刻家の飯田竜太氏により2007年に結成されたアーティストデュオだ。
田中氏は、1980年生まれ。アーティスト活動と並行してグラフィックデザイナーとしても活動。2013年にJAGDA新人賞を受賞している。これまでの主な仕事に「東京都写真美術館」のVI計画や、「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」「国際芸術祭あいち2022」「POST」「Tokyo Art Book Fair」「Takeo Paper Show」「ISSEY MIYAKE」のアートディレクションなどがある。
飯田氏は、1981年生まれ。古本や新聞といった紙を素材に言語の枠組みを外側からとらえる彫刻作品を制作し、2004年ガーディアン・ガーデン主催の第22回グラフィックアート「ひとつぼ展」にてグランプリを受賞。現在はアーティスト活動と並行して、日本大学美術学部美術学科 准教授として教育にも携わる。
2007年の結成後、人物を連続撮影した写真の束に彫刻を施した初期のポートレート作品で注目を集めた二人は、他者の思想や異なる分野領域とも大胆に接続しながらその関心と対象を拡げ、表現を深化させている。2024年には、その表現活動の歩みを振り返る大規模個展「Nerhol 水平線を捲る」を千葉美術館で開催。この展覧会が評価され、令和6年度(第75回)芸術選奨、美術部門で文部科学大臣新人賞を受賞した。
本展では、最新作を中心に未発表作を加えた約80点による構成で、Nerholの多層的な探究の現在地を紹介する。連続イメージを積層し彫るという制作手法、これまで手がけてきたさまざまな素材、対話という制作の起点などを改めて見つめなおし、本展では新たなアプローチへと展開させている。
また、近年のNerholの主要なモチーフのひとつが帰化植物(本来の自生地から人間の活動によって他の地域へ運ばれ、野生化した植物)だ。本展ではハナミズキがモチーフに選ばれ、その歴史的背景や土地との関係へのリサーチをふまえ、新たな制作手法に挑んだ大型作品を展示する。
本展の「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」というタイトルには、物事や行為の一義的な確かさに問いを投げかけ、そこに潜在する意味や覆い隠された関係を注視してきた二人の一貫した姿勢が反映されている。
7月20日にはNerholの二人が登壇するアーティストトークが、8月17日には飯田氏によるワークショップも予定されている。
Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness
会期:7月12日(土)~10月13日(月・祝)
会場:埼玉県立近代美術館
休館日:月曜日(7月21日、8月11日、9月15日、10月13日は開館)
開館時間:10時~17時30分(展示室への入場は17時まで)
観覧料:一般1400円 大高生1120円
《Piano sonata 01》2025 年|©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
《connecticut》2025 年|©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
《carve out / E.M 38a》2023 年|©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
Photo by Daisuke Shima Photography





