TCC最高新人賞の平田純一氏 「決めつけ刑事」は九州だからこそ生まれた

東京コピーライターズクラブ(TCC)は、6月5日に2025年度のTCC最高新人賞、および新人賞受賞者を発表。本年度は最高新人賞1人、新人賞18人が選ばれた。

最高新人賞を受賞したのは、ACジャパンのCM「決めつけ刑事」を手がけた平田純一さん(BBDO J WEST)。コピーライターとは無縁だった学生時代、クリエイターとしての転機となったMV制作、そして「決めつけ刑事」へ――。受賞を記念して、改めて自身のキャリアを振り返ってもらった。

TCC最高新人賞を受賞した平田純一さん(BBDO J WEST)。
1987年生まれ。九州工業大学情報工学部を卒業後、福岡の制作会社でコピーライターのキャリアを経て、2016年BBDO J WEST入社。CM・グラフィックなどの「記憶に残る」クリエイティブを企画制作。現在、福岡コピーライターズクラブ副代表を務める。

コピーライターになればCMをつくれると聞いて

黒歴史かもしれないのですが、幼い頃、おもちゃをあまり買ってもらえなくて、自分で遊びを開発するような子どもでした。今思えば、当時から企画を考えることが好きだったのかもしれません。

その後も広告やコピーライターとは無縁の生活を送っていましたが、大学時代、就活の時期になって自分の将来を考えた時、CMやMVなどの映像作品を企画したいと思ったんです。調べてみると、どうやらCMプランナーという職業があり、コピーライターになればCMを企画できるらしい。そこから宣伝会議のコピーライター養成講座に通い始め、福岡の制作会社に入社しました。当時はポスターなどのグラフィックやCMの企画が中心でしたね。

約5年半の勤務を経て、2016年にBBDO J WESTに入社し現在に至ります。ただ、入社当初はとにかく大変で。というのも、制作会社ではデザイナーやディレクターが社内にいたので、コピーを書いてCMを企画したら終わり!みたいな感じだったのですが、BBDOではデザインの企画から映像を含めた制作物全体のディレクションまでできないといけない環境。仕事量も激増しました。

そんな中、ターニングポイントとなったのは、2017年に企画した、福岡のバンド・about a ROOMの『on your side!!』という曲のMV制作です。ホームレスの方に1カ月密着するドキュメンタリー風のMVでしたが、コピーだけではなく撮影交渉など多くの実務を経験しました。苦労しましたが、その後は企画コンテひとつにしても、カット割りやアングルなども細かく意識するようになったので、仕事の視野が広がったように感じています。

about a ROOMの『on your side!!』(2017年)のMV。
次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ