後輩のデザイナーたちと飲んでいたときのこと。「コピーも書けるんです、という人でまともなコピーを書ける人に会ったことがない」という話で盛り上がりました。
たしかに。そのとおりかもしれない。
今は広告クリエイティブ職にもいろいろな人材がいて、ひとつの職種名で括りきれない人がたくさん活躍しています。
ただし、そういった人たちにも出自というか、その人の原点みたいなものがちゃんとあって、最初からマルチな職能を持っている人はあまりいないというか。
コピー も 書ける の「も」。
これ、たった一文字ですが、たった一文字の大切さまで考え抜くのがコピーライターだったりするので、そんなに気軽に「も」をつけてはいけないと思うんです。
この職種に触れたことがある人なら、片手間でやって一人前になれるものではないことくらいわかるはず。コピーライターに限らず他の職種だってきっと同じはずです。
だいたい、自分が放った言葉が、相手をどんな気持ちにさせるかを想像できない人が、本当にコピーライターなのか?という疑問も残ってしまう。
多刀流の時代ですが、ペーペーの状態から多刀の使い手になろうという企みは非常に危険だと思うわけです。きっと周囲の人達から、目に見えない刀で返り討ちにあって血まみれになることでしょう。
もちろん二刀流で世の中の話題をさらうような人もいるけれど、ある程度ひとつの山を登りきった人だけが、隣の山を目指すことができるのではないかと。
むかしあるドキュメンタリー番組でプロとは?という質問に対し「その人からそれを取っちゃったら何も残らない人」と言っている人のことをふと思い出しました。
どうかみなさん、「も」の取り扱いにはお気をつけください。僕もじゅうじゅう気をつけます。

