「カフェ」は目的地として行くもの?成り行きで入るもの?──「計画vs偶発」で読み解く人の選択行動

私たちの選択は、計画通りに行われるものばかりではなく、思いがけない出会いや衝動などの「偶発的」な要素に大きく影響を受けている──書籍『偶発購買デザイン 「SNSで衝動買い」は設計できる』は、こうした偶発的な購買を戦略的に作り出すことが、SNS時代にブランドの躍進につながると説いている。いまやこうした偶発的な選択行動は、購買行動だけではなく、より広範な人の選択行動にも見られるようになっているという。著者の宮前政志氏に、スキマバイト、カフェ来店、転職活動を例に、「計画」から「偶発」への変化が具体的にどう表れているのかを3回にわたって寄稿してもらった(今回の記事はシリーズの2回目です)。

目的地か、成り行きか──カフェの「計画来店」vs「偶発来店」という選択

前回は、スキマバイトで働く動機を「計画」と「偶発」の二つに分けて考えた。今回は、カフェ利用における来店動機を大きく「計画来店」と「偶発来店」の二つに分けて考えてみたい。

カフェの計画来店とは、外出前から「このカフェで待ち合わせしよう」「あの限定スイーツが食べたい」「仕事の前にここで資料作成を」といった明確な目的を持って、そのカフェを「目的地」に選ぶケースだ。一方、偶発来店は、元々カフェを目的にしていなかったものの、「待ち合わせ相手が遅刻して1時間空いた」「映画の後にちょっと一息」「スタバが混んでいて、次に目に留まったカフェに入った」といった「成り行き」で生まれる利用だ。カフェに限らず、多くの外食チェーンで偶発来店の比重は計画来店よりも大きいことが多く、カフェの戦略設計においても計画と偶発の両者をどう捉えるかは大きな意味を持つ。

「計画来店」の差別化は再来訪される仕掛けが重要

計画来店では、「〇〇だからここがいい」という明確な差別化が不可欠だ。メニューや空間、イベントや限定性などがそのカフェを「唯一無二の目的地」にし、計画的な来店を生み出す。例えばモーニングにおいては、「特徴的な朝メニュー」を習慣化して平日朝のルーティーンで利用するリピーターを育み、「生活動線」の一部にしていく。ドーナツチェーンであれば、「お土産用に買う」「友人宅への手土産」なども典型的な計画来店と言える。

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