Googleは検索と広告のAI活用を加速させている。生成AIによる要約機能(AI Overviews)は世界200以上の国・地域で月間15億人以上が利用し、検索方法はテキストから画像・動画、またサイトの特定領域を囲う「かこって検索」へと広がった。購買行動も変化し、Google上で1日10億件超のショッピング行動が発生、その86%にGoogleかYouTubeが関与している。同社はこうした動きを踏まえ、生成AI回答内に広告を表示する新フォーマットや、広告運用を支援するAI機能の提供を進めている。
AI要約にも広告を追加
Googleは、生成AIが作成する検索要約に広告を組み込む「Ads in AI Overviews」を米国で展開し、英語圏の一部地域へ広げる予定だ。さらに、対話型検索「AI Mode」に対応する広告テストも始まり、検索要約だけでなく、ユーザーが質問を深める過程にも広告を表示できるようにする。
7月25日にGoogleの日本オフィスで行われた、メディアランドテーブルに登場したグローバル Search Ads & Commerce部門バイスプレジデントのBrendon Kraham氏
広告運用支援では、Google AdsやAnalyticsに段階的に導入される「AI Max for Search Campaigns(検索キャンペーン向けAI最大化設定)」を提供開始した。日本でも今週からβ版として利用可能となり、入札やターゲティング、効果測定をAIが提案・自動化する。従来のように手動でキーワード選定や入札管理を行う運用から、AI前提の設計への移行を促している。
画像検索の20%は「購入目的」
Googleのデータでは、ユーザーが購入に至るまでに平均5つの接点を経由し、その多くに検索やYouTubeが含まれるという。検索方法もテキストから音声・画像・動画へと多様化し、画像検索「Google Lens」は月250億回利用され、そのうち5回に1回は、商品の購入やサービス利用を検討するための検索だとする。Z世代では「かこって検索」が検索開始行動として約1割を占め、必要な範囲だけを切り取って探す行動が広がっている。
テレビでもYouTube視聴が首位
動画分野ではYouTubeの存在感が拡大している。ショート動画機能「YouTube Shorts」は月間アクティブユーザー20億人、1日1000億回以上再生される規模に成長した。Z世代ユーザーでは約半数がTikTokを使わず、6割以上がInstagramリールも利用していないため、YouTube Shortsのみで接触できる層も一定存在する。
コネクテッドテレビ(CTV:インターネット接続されたテレビ)でもYouTubeは視聴時間で首位だ。Googleによると、日本国内のCTV向けYouTube広告は月平均600万件以上のコンバージョン(購入や申込みなど)を生んでいる。この数字はスマホやPCを含まないテレビ画面限定の成果であり、家庭の大画面でもネット動画が広告接点となっている状況がうかがえる。
次ページはAI検索でも「外部リンク維持」
