ジョブ型からスキル型へ:HRテックが切り開く新時代

社会のあり方やテクノロジーの変化に伴い、世界中の企業が経営戦略を変化させていますが、それと同期して人材戦略も大きな転換期を迎えています。日本でもジョブ型の雇用が拡大していますが、欧米では仕事の範囲や役割を規定する「ジョブ型」から、その仕事を遂行するスキルに着目した「スキル型」へシフトしています。

 

そこで注目されているのが、「スキルベース組織(Skill-Based Organization)」というコンセプトです。この組織モデルを実現するには、AIをはじめとするテクノロジーの力が不可欠であり、結果として従来HR領域には参入していなかったMicrosoftのような大手企業も、新たなプレイヤーとして市場に参入しています。

 

この動きは世界的なトレンドとして広がりつつあり、日本のHR業界も影響を受けつつあります。本記事では、TBWAHAKUHODOの二階さんと礒原さんに、この潮流が生まれた背景と今後の展望について深掘りしてもらいます。

avatar

二階 晋平

TBWAHAKUHODO
経営戦略ユニット人事局 Talentism推進部 部長
(現 博報堂DYホールディングス グループ人材開発室)

博報堂に入社後マーケティング職を経て、TBWAHAKUHODOへ出向。営業職・プラニング職、経営企画職等を経験し、人事職へ。経営戦略と人材戦略の連携を実現するための制度企画やシステム導入に従事。

avatar

礒原 理子

TBWAHAKUHODO
経営戦略ユニット人事局 Talentism推進部
Management Planning Supervisor

大学/大学院で法律を専攻後、2016年アトム法律事務所弁護士法人にマーケティング職で入所。その後異動で就いた人事という職種に魅力を感じ、人事キャリアを発展させるべく、2018年TBWAHAKUHODOに転職。2022年にセールスフォース・ジャパンに転職するも、2023年にTBWAHAKUHODOに戻り、今に至る。採用に強みを置きつつ、経営戦略と人事制度の橋渡しに従事している。

ジョブ型からスキル型への背景

もともとジョブ型雇用が当たり前であった米国で「ジョブ型の限界」が指摘され始め、スキルを軸とした雇用へとシフトする動きが強まっています。その大きな理由は、企業がイノベーションを生み出し、成長し続けるために必要があったから、というところにありますが、まずは、なぜこのような潮流が生まれたのかを4つのポイントで解説します。

<ポイント1> 経済のサービス化と人材価値の向上

日本でもGDPの約7割がサービス産業に由来する経済となっていますが、欧米でも同様にサービス産業にシフトしています。製造業がSaaS型のサービスを提供するような事例も当たり前になりました。多くの企業が「サービス」を提供する時代において、最も重要な価値は「人材」によって生み出される体験価値です。この経済のサービス化という産業構造の変化により、人が持つスキルが果たす役割がますます高まっています。

<ポイント2>企業の成長要因の変化

経済のサービス化以前の企業成長の主役は「工場」だったといえるかもしれません。投資家は工場という固定資産の規模やその回転率といった財務会計的な観点から企業の状況を知ることはもちろん、極端に言えば今後の成長をある程度予測することができました。一方、現在のようなVUCAの時代、かつサービス経済の世界においては工場や固定資産だけでは企業の将来的な成長を予測するのは難しくなりました。どのようなスキルを持った人材がいるのかという人材の質や量、そして企業文化を加味することが企業の価値向上を予測する要因として重要になってきたのです。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 3592 / 4207 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

必見・キャリアのツボ集 by マスメディアン
必見・キャリアのツボ集 by マスメディアン

株式会社マスメディアンは、宣伝会議グループの人材エージェントです。マーケティング・クリエイティブ・デジタル領域での支援実績は6万人以上。実績とノウハウを持つ転職コンサルタントがあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。

必見・キャリアのツボ集 by マスメディアン

株式会社マスメディアンは、宣伝会議グループの人材エージェントです。マーケティング・クリエイティブ・デジタル領域での支援実績は6万人以上。実績とノウハウを持つ転職コンサルタントがあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ