若者の「アルコール離れ」が叫ばれ、ノンアルコール・低アルコール飲料が市場を伸ばす中、アサヒビールは2020年から「スマートドリンキング(=スマドリ)」というスタイルを提唱し続けています。「飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる、体質や気分に合わせた自由な飲み方」を指すスマドリ。元味の素クリエイティブディレクターの名久井貴詞さんは、まだ馴染まない慣習にギクシャクしたものを感じながらも、酒類メーカーならではの挑戦を応援したいといいます。
アサヒビール「スマドリがええねん!合間ノンアルええねん」篇(30秒)
酒類メーカーに感じる特別な「何か」
今回のCMをどの様なCMと捉えたら良いのか?結構悩みました。
いわゆる商品ブランドCMではありません。ましてや企業ブランドCMとも捉えにくい。全飲料領域広告って言っていいのか……? なかなかスッキリと定義しきれません。
飲料といっても酒類というカテゴリーが含まれていて、その持つ歴史的な課題や、食も含めた文化的側面も持ち合わせているし、さらに社会的・心理学的なコミュニケーションとして人間の要素があふれる多面的なCMなのだと考えます。
自分自身も、酒類メーカーに6年間在籍(出向でした)していたのですが、食品と同様に口から身体の中に取り入れるものでも、商品や社会・環境に対する異なるモノの考え方・行動には驚いたし、なるほどな~と多くのコトを学びました。
感覚的な印象なのですが、酒類はいわゆる神事とも関連性が深いからなのか、発酵という見えない力による作用なのか、お酒の神様に対する尊敬と敬愛があるのか、製造業としての商品に対する向き合い方に深い何かを感じました。お酒の飲み方に関しても、量もそれなりに飲まれる方も多いですが、ただただ酔ってしまう自分と異なり、あるわきまえが根本的に違っているな~と仕事をともにしていた時は思っていました。