アトムストーリーが語る「伝える」を「伝わる」に変えるコミュニケーションとは

人的資本経営が注目される中、企業に求められているのは制度や理念を整えるだけではなく、それを「伝える」から「伝わる」へと変換し、社員が自ら動きたくなる状態をつくることである。7月18日に表参道の宣伝会議セミナールームにて開催された「人財会議カンファレンス2025」で、アトムストーリー代表の村上賢太氏は、人の心に届くコミュニケーション手法として「ビジュアル・ストーリーデザイン」の重要性と手法を解説した。

写真 人物 アトムストーリー代表の村上賢太氏

企業が抱える「伝わらない」3つの壁

村上氏は、企業が抱える共通課題として「制度があるのに人が動かない」「企業の魅力が社内外に伝わりきらない」「理念が現場に浸透していない」という3つの壁を挙げる。リクルートの調査によれば、制度を知らない社員は約67%にも上るという。社内報や説明資料などで情報発信を行っていても、日々の業務に忙殺される中で見過ごされ、記憶に残らないことも少なくない。加えて、経営層が描く理想像と現場社員の感覚にはしばしば温度差が生まれる。「伝えたつもり」では行動は変わらず、制度や方針をいかに“自分ごと”として受け取ってもらえるかが肝になると村上氏は指摘する。

イメージ 人的資本経営が目指す3つの状態

視覚と物語で概念を翻訳する

そこで鍵となるのが「ビジュアル・ストーリーデザイン」である。これは、情報を単に文字で伝えるのではなく、視覚と物語を組み合わせ、複雑な概念を感覚的かつ具体的に理解できるように翻訳する設計手法だ。村上氏は非常口のピクトグラムを例に挙げ、「文字がなくても一目で逃げる方向がわかり、行動に移せる。言語の壁を越えて伝わる非言語の力がある」と説明する。企業の制度や理念も同様に、ストーリーや視覚表現を使うことで、社員が自分の未来や価値観と重ね合わせ、自然に行動へとつなげやすくなるという。

さらに具体的な実践例として、三菱電機エンジニアリングの福利厚生制度可視化プロジェクトが紹介された。当プロジェクトでは、制度を解説する資料ではなく、パラパラ漫画風のアニメーション動画を制作。社員の日常や将来を想起させるストーリーに落とし込み、「自分にも関係がある」と思える体験設計を行った。動画を社内説明会やイントラネットで活用したところ、「働き方の選択肢が具体的に想像できた」「制度が身近に感じられる」といったポジティブな声が多数寄せられ、理解度や利用率の向上にもつながったという。

伝わるコンテンツにはストーリーと仕組みがある

「伝わる仕組み」が人的資本経営を加速させる

村上氏は「伝えることは多くの企業がすでにやっている。しかし、相手がどう受け取るかを考え抜き、情報量を適切に整理し、共感を呼ぶストーリーへと翻訳しなければ、制度は存在しないのと同じだ」と強調する。ビジュアル・ストーリーデザインは、単なる動画制作やグラフィックデザインではなく、「行動を促すための仕組みづくり」と位置づけられる。

人的資本経営で重要なのが、この「伝わる仕組み」だ。人材の能力開発やスキルアップを支援する制度があっても、それを社員が理解し活用しなければ投資効果は上がらない。村上氏は「社員一人ひとりが会社の理念や制度を自分の成長に直結するものとして受け止めることが、企業価値の向上や文化の定着につながる」と締めくくった。

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株式会社アトムストーリー

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