8月21日に、東京・池尻のOFS GALLERYにて写真家・上田義彦氏の個展「Beside Time 光に宿る記憶」が始まった。
広告というカテゴリーやジャンルにとらわれず、40年もの間、第一線でシャッターを切り続けてきた上田義彦氏は、1957年兵庫県生まれ。1979年大阪写真専門学校(現:専門学校大阪ビジュアルアーツ・アカデミー)卒業。写真家の福田匡伸、有田泰而に師事した後、1982年に独立した。
これまでの代表作に、ネイティヴ・アメリカンの聖なる森を捉えた『QUINAULT』、前衛舞踏家・天児牛大のポートレイト集『AMAGATSU』、自身の家族にカメラを向けた『at Home』、生命の源をテーマにした『Materia』、30有余年の活動を集大成した『A Life with Camera』などがある。近著には、Quinault・屋久島・奈良春日大社の3つの原生林を撮り下ろした『FOREST 印象と記憶 1989-2017』、一枚の白い紙に落ちる光と影の記憶『68TH STREET』、『林檎の木』など。2022年には『Māter』、2023年に最新作『いつでも夢を』を刊行している。2019年には、主人を亡くし家屋の相続税に翻弄されていく人々を、日本の家とその庭の四季の移ろいを通して描いた映画『椿の庭』を監督・脚本・撮影も手がけた。
本展は現在、神奈川県立近代美術館 葉山にて開催中の回顧展「上田義彦 いつも世界は遠く、」を受けて構想されたもので、作家にとって初の試みとなるポラロイド作品のみで構成されている。
上田氏が今回の展示に向け、ポラロイドカメラで捉えた写真は3年前から身を置く葉山での、日々の中に点在する親密な光の記憶だ。明治からつづく葉山の家を、上田氏が受け継いだのは27年前。当時朽ちかけていたこの家を継ぐと決めたのもかつて、変わりゆく風景を前にして感じた深い喪失感からだったという。
あるはずの風景が失われる時、共に宿っていた人々の記憶も消えてしまう。
