ロジカルで完璧な提案書を作り上げたはずなのに、なぜか案件が一向に進まない。そんなジレンマを抱えている営業担当者の方もいるのではないでしょうか?その原因は、提案相手である「法人の中の個人」、つまり担当者の“感情”を見過ごしているせいかもしれません。
投資対効果というロジックももちろん重要ですが、それだけで人は動きません。株式会社カクシンの天野眞也氏が提唱する「シン・営業力」で欠かせない、担当者個人の心を動かすアプローチの重要性を解説します。
『シン・営業力』実践講座
対峙しているのは「法人の中の個人」である
投資対効果をロジカルに説明できることは、法人営業の基本です。しかし、それだけでは十分ではありません。なぜなら、営業担当者が日々対峙しているのは、会社という概念的な存在ではなく、血の通った「法人の中の個人」だからです。
天野氏は、「企業のメリットはわかりにくいが、個人のメリットはわかりやすい」という特性を指摘します。例えば、「タクシーなどの経費が使い放題になる」と言われれば、会社の利益を圧迫すると頭では分かっていても、嬉しいと感じる人がほとんどでしょう。
この原則は、営業提案においても同様です。どんなに企業にとってメリットのある提案でも、担当者個人にとってのメリットがなければ、案件は停滞しがちです。例えば、業務を効率化する新システムを提案したとします。会社全体の利益は大きいとしても、担当者にとっては「導入が面倒だ」「自分の仕事がなくなるかもしれない」といった不利益や不安が生じるかもしれません。
個人のメリットをセットで提案
そこで重要になるのが、担当者個人のメリットを考慮し、セットで提案することです。個人のメリットとは、例えば以下のようなものです。
● 出世:提案したサービスによって担当者の社内評価が上がる
● 人間関係: 導入した製品が他部署から感謝され、人間関係が良好になる
● 業務負荷の軽減: 面倒な作業から解放される
このとき、提案相手が何を望んでいるのかを理解することが不可欠です。新しい挑戦で自己実現したい担当者もいれば、失敗を恐れ、とにかく今の地位を守りたいと考える担当者もいます。相手の感情や欲求を無視してロジックだけを押し通しても、人は動きません。投資対効果というロジカルな説得を行う上でも、目の前の担当者の感情に配慮することが不可欠なのです。
企業の利益を最大化するための「投資対効果」という縦軸と、担当者の感情や欲求を満たす「個人のメリット」という横軸。この両方を満たして初めて、提案の推進力が高まるでしょう。
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