「価格で負けた」「機能で競合に劣っていた」。営業活動における「負け」の理由はさまざまです。敗因が分かっているものは、まだ次に繋がる可能性がありますが、最も恐ろしいのは、知らないうちに競合に決まってしまう「不戦敗」です。
「シン・営業力」を提唱する株式会社カクシンの天野眞也氏は、リベンジすら不可能な「不戦敗」こそが、営業の失敗の約8割を占めていると指摘します。
なぜ「不戦敗」は起きてしまうのか。そして、それを防ぐためにはどうすればいいのかを紐解きます。
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なぜ「不戦敗」が起きるのか?
「不戦敗」が起こる最大の原因は、お客様が「欲しい」と思ったタイミングを逃していることにあります。どんなに優れた製品やサービスでも、タイミングが合わなければお客様には響きません。
天野氏はこの重要性を、ハンバーグに例えて説明します。
●ケース1:食事を終えたばかりでお腹がいっぱいの人に、いくら美味しいハンバーグを勧めても食べてもらえない。
●ケース2:お腹は空いていても、「お昼にハンバーグを食べた」という人に、夜にハンバーグを勧めると、食べてもらえないか、値引きなどの交渉が入る可能性が高い。
●ケース3:「お腹が空いていて、ハンバーグが大好きな人」に勧めたとき、喜んで食べてもらえる。
お客様が課題を感じ、解決策を探し始めた「まさにお腹が空いている」タイミングで、的確な提案ができなければ商機は生まれません。そして、そのタイミングを知らないうちに競合が掴んでしまうこと、それが「不戦敗」の正体です。
「不戦敗」を防ぐ武器となる「4つの情報」
では、どうすればお客様の「タイミング」を逃さずに済むのでしょうか。その鍵は、顧客に関する情報を網羅的に収集し、構造化することにあります。天野氏が提唱するのが、「4つのリスト」とも呼ばれる情報整理術です。
1. 組織情報
顧客がビジネス全体のどこに位置し、どのような役割を担っているかを理解するために必要です。
2. 担当情報
「法人の中の個人」に焦点を当て、その役割、決裁権、興味関心などをまとめます。
3. 案件情報
お客様の社内で動いているプロジェクト、すなわち「予算」の情報を指します。
4. 工程情報
お客様が利益を生み出すまでの業務フローといった情報です。
これらの情報をコツコツと、そして組織的に積み上げていくこと。それこそが、競合からは見えない強力な参入障壁となり、知らぬ間に商機を逃す「不戦敗」を撲滅するための最も確実な戦略となります。
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