縦型ショートはABC時代へ:アルゴリズム・ブランド・コミュニティ—3つを育てるクリエイティブ戦略

これからの「ABCフレームワーク」

具体的な例で見ていきましょう。例えば架空の「健康食材をふんだんにつかったハンバーガーチェーン」がTikTokアカウントの運用をスタートしたとします。さて、先ほどのABCに照らし合わせると、このクライアントはまず何を考えるべきでしょう?

例1:健康食材ハンバーガーチェーン

A- アルゴリズムの視点:

アカウントの立ち位置(誰のために、どんなコンテンツを発信するか)、どの順番で企画を走らせるか=学習させる順番をどうするべきか。

例えば

  • 「楽してダイエットしたい層」に
  • 「食事をコアとしたエンタメコンテンツ」を発信
  • 顕在層向けにまずトライアルしたくなるコンテンツを優先

B- ブランドの視点:

そのブランドがTikTokを通して解決すべき課題はなにか? 何を訴求するべきか? 

例えば

  • 課題:「健康食材は美味しくなさそう」「ハンバーガーは太りやすい」という先入観
  • 訴求点:「想像を遥かに超える美味しさ」「実はダイエットにも繋がる」と感じさせること

C-コミュニティの視点:

誰が語るか。どう語るかなどHow(伝え方)やエンゲージメント施策。

例えば、

  • 一般ユーザーによる「街頭食べ比べクイズ」
  • 社員による「ハンバーガーだけで1週間ダイエット」

<チェックポイント>

3つの視点に矛盾がないかチェックしましょう。

上記は決して一度作れば完成するものではありません。C(コミュニティ)はいろいろな企画を試してPDCAをまわすべきです。一方、A(アルゴリズム)は投稿した後、伝えたい層にちゃんと動画が表示されているか、ユーザーの反応はどうかを中期的にチェックしていきましょう。B(ブランド)はロングタームで考えるべきところです。仮に初動の反応が悪かったとしても、ころころ変えるべきではないと思っています。

例2:化学メーカーの求人アカウント

ではもう一つ例を。前回の宣伝会議のショート動画・縦型動画プランニング塾では、BtoB企業様も受講していらっしゃいました。求人やブランディングに、TikTokは欠かすことができないプラットフォームになってきたことを実感しております。

A-アルゴリズムの視点:

  • 「広く大学生・大学院生・保護者」のために
  • 「身の回りでできる化学実験やネタ」を発信
  • 企業認知を重視し、まず広くターゲットに受けそうな企画から優先

B-ブランドの視点:

  • 課題:化学メーカーで働く楽しさやイメージが伝わりにくい(地味かつ仕事内容が見えない)
  • 訴求点:「なんでも実験したがる、面白い会社」

C-コミュニティの視点:

  • 家庭で10秒でできる化学実験 3選
  • 化学メーカー実験あるある

投稿する順番も吟味

アルゴリズムを育てるには「誰に・どんな企画を出すか」だけではなく、順番も大切です。

「バズりやすいものからいこう!」と考えがちかもしれませんが、本来の目的に立ち返って、一番目的に近いと思うものからやっていくことをおすすめします。

例えば、
目的が「購入」なら → 顕在層向け(商品レビュー、競合比較など)から。
目的が「認知拡大」なら → 潜在層向け(バズりやすいエンタメ企画)から。
先ほどのハンバーガーチェーンの場合はこうなりますね。

  • 顕在層(ハンバーガー好き・健康ダイエット志向):商品実食レビュー・競合比較
  • 準顕在層(ダイエットには興味あり):「1週間外食ダイエットチャレンジ」
  • 潜在層(広くエンタメ好き):店舗を舞台にしたショートドラマ

次ページはオーガニックか広告か

次のページ
1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ