普通の日常が、いちばんのインプット源―「宣伝会議賞」応援企画・発想ブレイクスルー集【2】

約2カ月間にわたる「宣伝会議賞」の応募期間も半分が過ぎ、ふと手が止まる瞬間が増えていませんか。そんなときこそ、新たなひらめきへとつながる視点が必要です。「宣伝会議賞」の審査員7人に、アイデアを前に進めるための方法を聞きました。第2回は、中高生部門の審査員を務める押部由紀奈さんです。
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押部由紀奈氏

I&S BBDO

京都大学にてマーケティングを学び、I&S BBDO入社。ヤングカンヌ フィルム部門・デジタル部門日本代表、ヤングスパイクスデザイン部門日本代表、ヤングロータス日本代表、ヤングスパイクス世界本戦優勝、カンヌ Gold、スパイクスGold、スパイクスYOUTUBE Creative Hack世界TOP3、TCC新人賞、ACCアンダー29、広告電通賞最優秀賞など多数受賞。ヤングスパイクス審査員も務める。

Q1. アイデアが出ないとき、最初に頭の中で何をしますか?

「アイデアが出ない」と感じるのは、「アイデアと呼べるもの」に対するハードルが上がっているのが原因なことが多いです。なので、そんな時は、「アイデア」になっていなくても何でもいいから、とにかくひとつでも多く頭の中にあるものを出しまくると、量に比例して、質もついてきます。

選ぶのは、後でいいんです。いったん全部吐き出して、カタチにしてみましょう!

Q2. 視点を変えたいときに使う“発想フレーム”や“型”があれば教えてください。

オズボーンのチェックリストなど、フレームワークはたくさんありますが、アワードのリールを一つひとつ見てゆき、自分がワクワクした事例の素晴らしい点を深掘りして極限まで抽象化し、お題に当てはめて再度具象化&カスタマイズするという方法が、一番楽しくて紋切り型のアイデアにならない気がします。事例の勉強にもなって、一石二鳥です。

ただし、抽象化の粒度が低いと、二番煎じにしか見えないものになってしまうので、ご注意ください。具体的なモチーフや手法ではなく、アイデアの本質やその裏にある理由だけを抽出して分析するのがポイントです。

Q3:アイデアを刺激する“インプット”として頼りにしているものは?

普通の日常が、いちばんのインプット源です。

8ミリフィルムのようなドラマチックな毎日を送っている人は、ほとんどいません。私たちがアイデアを届けたい相手の多くは、普通に暮らす普通の人たちです。なので、なにげない日々の暮らしこそが、実はいちばん頼りになると感じています。

Q4:頭を切り替えるために、物理的な“環境”で工夫していることは?

静かな環境を用意することです。本当に研ぎ澄まされたアイデアを出すには、やはり図書館や自習室などで静かに集中するのが近道だと、現地で24時間で出したアイデアを各国代表と競い合うヤングカンヌでテラスレストランの2階に宿を取ってしまったことで痛感しました(笑)。

写真 集中したいときに通っている図書館

集中したいときに通っている図書館です。

Q5:気持ちが落ち込んだとき、どうやって立て直しますか?

原因から目をそらしても問題は解決しないので、とにかく考え続けます。

できるまで諦めなければ、必ずできるのですから、大切なのは、諦めないこと。そして、諦めない未来を自分自身が信じられるように、諦めなかった実績を作り続けることです。

考え続けてさえいれば、いつかアイデアは出てきます。私も日々苦しんでいるので、一人じゃないです!一緒に頑張りましょう!

Q6:これまでに“スランプを抜けた瞬間”のエピソードがあれば教えてください。

やってもやってもいつものように集中できなくて、「何かがおかしい」と思い返したところ、しばらくきちんと眠れていなかったことに気づき、土日に「もうこれ以上眠れない!」というところまで寝て睡眠負債を完済したら、解決しました!

思い当たる節が他にないのであれば、その不調、実は眠りの質が原因かもしれません。いったん思いきり眠ってみるのも、ひとつの手かも!?

Q7:応募者の皆さんにメッセージをお願いします。

「宣伝会議賞」は、資格のように必ずとらなければ先へ進めないものではありません。応募するかどうかは、あくまでも自由。ということは、逆に言えば、取り組んでいる皆さまには「それでも応募したい!」という熱い想いがあったはずです。期間が長いため、くじけそうになることもあるかもしれませんが、その最初の気持ちを、どうか最後まで大切にしてあげてください。素晴らしい作品を拝見できるのを、楽しみにしております!

第63回「宣伝会議賞」特設サイトはこちら

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