スマイルズ遠山正道さんの、湧き出る「意思」から生まれるプロジェクト

プロジェクトを成功に導くためにはステイクホルダーとの関係を築きながら、受注と発注の輪を気持ちよく繋いでいくことが重要ですが、プロジェクトの内容自体が多様化の一途をたどっており、なかなか教科書で学ぶことが難しいものです。だからこそ、素晴らしいプロジェクトを打ち出してきた先輩のストーリーから学ぶことはとても有効です。今回は、私が尊敬する経営者の1人でもある遠山正道さんのストーリーから発注美学のヒントを見出してみます(本稿は著者のポッドキャスト「Project Design Room」のエピソードの内容を抽出し、編集しています)。

写真

Project Design Room収録の様子。左が筆者、右が遠山正道さん。

遠山さんといえば、Soup Stock Tokyoの創業からはじまり実業とクライアントワークを展開するスマイルズの代表でありながら、最近では女子美術大学の教授としての活動、そしてロックバンドとしてフェスに登場するなど、実に多彩なプロジェクトを同時に推進されている、自称「新種の老人」です。人生100年時代において、100歳まで楽しく働くことを目指されていて、筆者はその姿勢に勇気をもらっています。

今回は、遠山さんがプロジェクトを成功に導くために意識している発注美学を教えていただきました。

出発点と目的地は1人で描き切る

スマイルズの事業を覗いてみると、「Soup Stock Tokyo」からスタートし、ニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」や、ネクタイブランド「giraffe」など、一つ一つのプロジェクトが素晴らしく楽しそうで、社会に幸福を与えています。個人的には海苔弁の価値を大きく向上させた「海苔弁山登り」が大好きです。まず伺ったのが、これだけインパクトの強いプロジェクトをどうやって着想しているのか、ということでした。ポイントは「個人の発意(出発点)」と「目的地は1人で描き切る」ことの有用性にありました。もちろん、身の回りの仲間たちや先輩・後輩に自分の考えを聞いてもらいながら、アイデアを発展させることは日常的に行いつつ、「なぜやりたいのか、何を成したいのか」という出発点と目的地の設定は、ぐっと1人で考え抜くことで強くシャープになっていきます。そうすることで事業そのものに自分の意思が表れていき、例えるなら一つのアート作品のようになっていきます。作品には他の人では再現できない意思が込められているので、以降巻き込まれていく仲間にとって、なぜこの人とやるのか?という強い理由になっていきます。第3回の連載にも挙げた「Why」が強いことで、より強く仲間と繋がりながら着地に向かうことができます。

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「発注美学」―プロジェクトを成功に導く発注スキルの考察と研究
出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

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