営業に声がかかる頃には、すでに顧客の中で候補が絞られている。BtoB企業では常識となり、従来型の営業活動は通用しにくくなっています。なぜこのような変化が起きたのか、そして今の営業担当者や組織には何が求められるのかを、株式会社才流(サイル)のコンサルタントである宮戸章光氏が解説します。
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商談前に購買プロセスの1/3が終了
BtoB企業が認識しておくべきデータとして、顧客が営業担当者に初めて接点を持つ時点で、顧客の購買プロセスの3分の1が経過しているというものがあります。これは、営業が顧客に会う前の「空白の期間」に、顧客は自らインターネット検索やウェビナーで情報収集を終え、候補企業の選別まで進めていることを意味します。
顧客の「情報収集の内製化」が進んだ結果、自社が顧客の検討リストに入っていなければ、商談の土俵にすら立てない状況に陥ってしまいます。
営業と顧客の「情報格差」がなくなる
この変化には複数の要因があります。1つは「テクノロジーの普及と進化」です。かつて、営業は顧客が知らない情報を持っているという「情報格差」を武器に商談を有利に進めることができました。しかし、2000年頃からインターネットが普及し、顧客は自分の課題や必要なサービスを自ら調べられるようになりました。かつて営業が持っていた「情報の優位性」は失われ、顧客との間にあった情報格差はほぼ解消されています。
この環境変化が、顧客の購買行動を根本から変え、セールスコンテンツの重要性を飛躍的に高めることになったのです。
さらに、「逆転した需給バランス」により商品・サービスのコモディティ化が進んだことや「グローバル化」の発展といったことも大きく影響しています。
商談前に効くセールスコンテンツの役割
営業が直接アプローチできない顧客の検討期間に、接点を持てる手段が「セールスコンテンツ」です。セールスコンテンツとは、ホワイトペーパーやウェビナーといった、顧客が商品やサービスの検討材料となる、企業からの情報発信やコミュニケーションの総称です。
<主なセールスコンテンツ>
●認知獲得:プレスリリース、記事広告、オウンドメディア
●検討深度化:ホワイトペーパー、ウェビナー、メールマガジン、製品・サービス資料
●商談化支援:導入事例記事、比較表、営業資料、デモ動画
顧客にとって有益な情報を提供することで、自社を認知させ、検討候補に入れてもらうことができます。
例えば、ある経費精算システムの販売会社では、従来の飛び込み営業やテレアポに行き詰まっていました。しかし、マーケティング部を立ち上げ、ウェビナー開催やホワイトペーパー提供に切り替えたことで、新規リード獲得に成功。あらかじめ商品・サービスに興味を持った顧客に対してや、顧客の興味関心が高まった状態で商談を設定できるため、提案もしやすくなります。
まとめ
営業担当者が顧客に会う前の段階で、すでに商談の行方は大きく左右されています。こうした状況に対応するためには、営業部門自身がセールスコンテンツの重要性を理解し、その作成と活用に主体的に関わっていく必要があります。セールスコンテンツはもはや、一部のマーケティング担当者のみの仕事ではありません。
顧客が求める情報を、求めるタイミングで提供するための具体的なコンテンツ作成プロセスや、効果的な使い分け方については、「BtoB企業のためのセールスコンテンツ作成講座」で詳しく解説しています。セールスコンテンツの戦略的な活用を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。




