自社製品の素晴らしさを、熱意を込めて説明しているのに、なかなかお客様に響かない。営業現場で生じる課題の1つです。多くの場合、その原因は売り手が伝えたい「特徴」だけを語り、顧客が本当に知りたい「ベネフィット」を伝えきれていないことにあります。
顧客が知りたいのは、製品のスペックそのものではなく、その製品が自分の課題をどう解決してくれるのか、ということです。この記事では、顧客の心を動かす「ベネフィット訴求」の営業資料を作成するためのポイントを、株式会社才流のコンサルタント 井出孝尚氏に聞きました。
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「特徴」と「ベネフィット」の違い
多くの営業資料では、会社概要やサービスの機能といった「特徴」の説明が中心になりがちです。しかし、それは売り手側の「言いたいこと」であり、顧客にとっては「他社と同じようなことを言っている」「自分には関係ない情報だ」と読み飛ばされてしまう可能性があります。
一方で「ベネフィット」とは、顧客が取り組むべき「課題」の解決に対して、自社のサービスがいかに貢献できるかです。顧客の関心に沿った情報であることで、自分事として捉えてもらいやすくなります。
井出氏はワイヤレスイヤホンを例に挙げ、どのような営業資料がNGなのかを解説。当初「会社概要」や「製品の特徴」を中心に構成されていた資料は、顧客から「この商品を選ぶメリットがわからない」という厳しいフィードバックがあったと言います。このような「特徴中心」の構成こそが、顧客との間にズレを生む原因となってしまいます。
ベネフィット中心の営業資料を作る「4ステップ」
では、どうすれば「特徴」の説明を「ベネフィット」の訴求に変えられるのでしょうか。以下の4つのステップで構築していきます。
ステップ1:課題の提起
まず、製品の説明に入る前に、顧客が共感できる課題を提示します。先の事例では、「ワイヤレスイヤホンは便利だが、耳への健康上のリスクや、屋外で利用する際の事故リスクといった課題はありませんか?」と問いかける構成に変更します。
ステップ2:効果的な課題解決の提案
提示した課題を解決するためには何が重要なのか、長時間使う際の安全性や使い心地など選定基準となるような考え方を提案します。これにより、顧客は課題を自分事として捉え、話を聞く姿勢になります。
ステップ3:課題に紐づく「自社の特徴」の紹介
ここで初めて、課題と紐づける形で自社の特徴を語ります。例えば、「事故リスクを減らすために、人の声と自動車音だけを拾う独自技術を搭載」といった流れです。特徴を、課題解決のための根拠として機能させます。
ステップ4:具体的に得られるメリットの説明
最終的に、顧客がどのようなメリットを得られるのかを具体的に示します。
自社の営業資料はベネフィット訴求か
顧客の心を動かすのは、スペックの羅列(特徴)ではなく、課題解決の物語(ベネフィット)です。ぜひ一度、使用している営業資料を見返してみて、最初のスライドが「特徴」で始まっていないか確認してください。それだけで改善の余地が見えてきます。顧客が抱える課題を起点に構成を再検討すれば、商談の質は大きく変わるはずです。
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