家電のシャープ、新事業で計画比2倍達成 成功を収めた「アイススラリー冷蔵庫」事業の背景

高いエンタメ性で、他社とのコラボイベントでも活躍

家電メーカーのシャープは、企業の福利厚生向けに特殊な冷蔵庫を提案するBtoB事業に注力している。同社は飲料を冷たいシャーベット状にできる「アイススラリー冷蔵庫」のレンタルを5月に開始。8月時点で600社以上に導入され、計画比2倍を達成した。2027年度までに3000社への導入を目標としている。

2016年に鴻海の傘下に入り経営再建を果たしたシャープ。商品の企画開発は引き続き国内で行っており、現在も様々な家電を展開している。一方、白物家電市場自体は出荷台数が年々減少するなど縮小傾向にある。業界で家電技術を応用した新事業を模索する動きも見られる中、好調なスタートを切ったアイススラリー事業の狙いを聞いた。

写真 アイススラリー冷蔵庫

エアコンで培ったノウハウも取り入れた「アイススラリー冷蔵庫」

「アイススラリー」とは、微細な氷の粒子が液体に分散した「シャーベット状で流動性のある飲料」を指す。通常の飲料よりも深部体温を効率的に下げられるとされ、建設現場やスポーツチームなど暑さ対策を必要とする現場で注目を集めている。猛暑日が続いた今年の夏は、特に需要が高まった。

「アイススラリー冷蔵庫」は、液体が凝固点を下回っても凍らない「過冷却」の特性を応用した製品。過冷却状態の飲料に衝撃を与えると瞬時に凍結するため、同冷蔵庫で冷却したペットボトル飲料を振るだけで、シャーベットが完成する。サイズは幅495、奥行 598、高さ 770ミリとコンパクトで、宅配便で作業現場や遠征先に搬送することもできる。

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