日本でも増加するデュープ商品。Z世代の受け止め方は?

密着型のエスノグラフィー調査から見えてきたZ世代の誤解。Z世代に対する一般論と実態のギャップ。若者の研究所にて、学生研究員が大人と対話をしながら自らの世代を分析する中で生まれた連載企画です。――「えっ?そうなの?」大人が知らない「ビーリアルな」Z世代理解に迫ります。

「ブランド品」を強く意識したようなデザインの類似製品のことを海外では「デュープ品」と言うようです。ご存じでしたか?

今回の密着対象者

Kさん(21)大学4年生(男性)

2003年生まれ。東京都新宿区出身。都内の大学に通い中。趣味はラグビー観戦とお酒。

若者の身の回りにある「デュープ品」

デュープは、Duplicate(模倣する)からDupe(デュープ)という言葉になったらしいね。特にファッションや香水、コスメとかで使われている印象だけど、Kさんの周りでもデュープ品ってあるの?

イメージ

もう、どこからどこまでがデュープ品かわからないくらい。それくらいありふれています。
 
イソップ風の容器のソープとか、コンバース風のスニーカー、シュプリームのボックスロゴ風のTシャツとかですよね。
 
あとは、アディダスみたいな感じで縦の白いラインが入っているトラックパンツとか。でも、3本線じゃなくて4本線、みたいな(笑)

最近とある香水が「イブサンローランの香水の香りに似ていてコスパいい」なんてTikTokでバズってました。
 
アメリカだと、ウォルマートでエルメスのバーキン風のデザインのバッグが発売されて”ワーキン”って呼ばれてバズってました。

女友達はSHEINとか、中国のファッションECでデュープ品的なものを買ってます。Temuの広告とかも、どこかで見たことあるような有名ブランドの模倣品が良く出てきませんか?

なるほど。言われてみれば、ファストファッションとか中華系のECとか、プチプラのコスメとかね。そういわれると、デュープ品って結構ありふれてるんだなー。

そもそもスーパーフェイク品が広がりすぎている

とはいえ、後発の製品よりも、本家というか。オリジナルのブランドの商品が欲しくない?

まず、スーパーフェイクが普及しすぎてます。それと比べると、デュープ品はマシ。
 
スーパーフェイクってのは、ブランドの完全模倣品です。N級品って言ったりするみたいですね。日本で売ったり買ったりしたらアウトですよね。
 
最近はラブブが流行ってますけど、「ラフフ」っていう偽物も出回ってます(笑)。中国発の製品を、中国かほかの国の企業がパクっています(笑)

ナイキとかアディダスのレアなスニーカーのスーパーフェイクとか出回っていますし。最近は、女友達がタイでディオールのスーパーフェイクのバッグを買っていました。
 
僕は偽物買うくらいなら、ディオールじゃなくてよくない?と僕は思いました。

確かにベトナムとタイ旅行に行ったとき、当時日本で全然買えなかったアディダスのYeezy Boostの偽物売っている露店がたくさんあったなー。そう考えると、スーパーフェイクが普及しすぎて、デュープ品はちょっとマシって感じなのね。

もうどれがデュープ品かわからないし、デュープ品でも気にならない

デュープ品に偏見はないもの?

自分が買ったものがデュープ品かなんて、わからないことの方が多いと思います。
 
例えば、ルイ・ヴィトンのダミエのようなわかりやすい柄のスーパーフェイクとかデュープ品だったら、誰もがその模様を知っているので僕もチープに感じてしまいますけど。
 
イソップみたいなシンプルなパッケージのデュープ品になると、それがイソップのパクリだなんて気が付かない。もう何がオリジナルかなんてよくわからないです。

確かに。なんか見たことあるような既視感のあるデザインっていまありふれてるもんね。

そもそも、全部をブランドで固める、家具も服もコスメも香水も全部ブランドなんて学生ができるわけないじゃないですか。
 
ブランド品へのあこがれもありますけど高嶺の花で買えないです。大人だって全身ブランドで固めるなんて、よっぽど裕福じゃないと厳しいよね。

その中で、自分の好きなブランドが何個かある、くらいだと思うんですけど。そういうとき、好きなブランドのデュープ品に対して嫌悪感は出ますね。
 
でも僕はファッションとかにはあんまり興味がない、好きなブランドとかにこだわりがないので、何がデュープ品かなんてよくわからないです。

ファストファッションだってハイブランドのトレンドの丸パクリみたいなデザインだらけらしいですね。
 
そう思うと、どこまで許されてどこからが悪なのかわからない。少なくとも、消費者にそれを判断するのは無理なんじゃないかなと思います。

そう思うと、音楽みたいなものだね。リミックスとかサンプリングという形で古い音楽を使ったりして。そこから少しずつ新しい潮流が生まれる、みたいな。

まとめ:未来はもっとデュープだらけ?

あと、最近気になるのは。企業がSNSでバズったものをCMに取り入れること増えましたよね。あれは、デュープCMなんじゃないですかね。ちょっとサムいなと思ってます……。

今後AIが発展して、モノを作るようになったら、それってもう全部デュープなんじゃないかと思いました。
 
作り手もデュープじゃないか気にしないといけなくなって、本当のモノづくりがしたい人もツラそう。
 
消費者から見ると、作り手の思想や背景に意味合いを感じて買いたいものと、価格・機能性だけで買いたいものに対する差って、より顕著に出そうですね。

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石崎 健人(若者の研究所 研究員・バイデンハウス 代表取締役)
石崎 健人(若者の研究所 研究員・バイデンハウス 代表取締役)

いしざき・けんと/慶應義塾大学卒業後、外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。Weiden Haus(バイデンハウス)のFMCG、Luxury、Technologyのリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。
「若者の研究所」は、高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティ。毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行している。

石崎 健人(若者の研究所 研究員・バイデンハウス 代表取締役)

いしざき・けんと/慶應義塾大学卒業後、外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。Weiden Haus(バイデンハウス)のFMCG、Luxury、Technologyのリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。
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