“遊ばれる広告”のつくり方─1.6億インプレッションの裏側|面白法人カヤックの「その手が、あったか。」 其の4

話題化のカギは、遊ばれ方にある

そんな考え方をもとに企画した事例のひとつが、「からだを想うオールフリー」のWebCM「深夜ラーメンの誘惑」です。

この動画は、深夜にお腹が空いた男性が、「からだを想うオールフリー」と一緒にラーメンを食べる、というシンプルなアニメーションCM…かと思いきや、実は映像内に登場する26種類の擬音すべてが声優の山寺宏一さんの声で再現されていた、という二段構えのCMになっています。さらにこの“男性”は、ラーメンYouTuberとして活動されているSUSURUさんをアニメ化したキャラクターになっています。

一見すると、ただ受動的に視聴する映像のように思えてしまいますが、このコンテンツには、生活者が主体的に参加したくなってしまう大きな仕掛けが施されています。

それは、動画を見せる前の段階で、“山寺宏一の声ですべての擬音を再現した”と宣言することにより、「どんな音なんだろう」と視聴者を前のめりにさせ、主体的に「探す」「気づく」「語る」モードへと変化させたこと。つまり最初の触れ込みで、視聴者を一気に「観客」から「プレイヤー」へと引き摺り出したのです。

さらにこの効果は、山寺さんが演じた擬音の一覧がずらっと並んだエンドロールによって、再び繰り返されることとなります。はじめて映像を見た人は、「缶をカシュッと開ける音」や「ラーメンをズズッとすする音」には注目して聴くことができていたでしょう。しかし、エンドロールで明かされた「外で聞こえる環境音」や「椅子を引く音」、「遠くのバイクの音」などについては、そうではない場合がほとんどです。そうしたときに、「え、そんな音あった!?」と、さらに集中して、繰り返しCMを見ることになります。

ここまできてしまえば、某イタリアンレストランの間違い探しで遊んだときのように、生活者たちはこの広告を「自分が参加したひとつの体験」として認識するようになります。そしてSNSには、この広告を「遊んだ」感想がポストされ、生活者主体の自走的な盛り上がりへとつながっていきます。

結果、本コンテンツの関連ポストは累計で70万いいね、1.69億インプレッション(うちオーガニック1.45億)を獲得し、大きな話題化を生み出すこととなりました。

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