東京2025世界陸上競技選手権大会が、9月13日から21日までの9日間、国立競技場を中心に開催されている。東京での開催は1991年以来34年ぶり。世界約200の国・地域からおよそ2000名の選手が参加し、国内ではTBS系列が中継を行う。
大会に先立ち、TBSは9月1日から首都圏を中心に大規模な交通広告を展開。「世界最大の運動会開幕」というコピーを掲げ、巨大OOHや車両ジャックを実施している。
「これまで興味がなかった人も振り返らせたい」
クリエイティブディレクターを務めたのは電通の尾上永晃氏。今回の施策について「34年ぶりに東京で開催されるという機会に、これまで世界陸上に興味がなかった人も振り返らせたいという話がありました」と語る。
「さまざまなステークホルダーが広告をつくるはずですが、おそらくその多くは肉体性や精神性にフォーカスするはず。ならばこちらは、同じ人間の行きつく先として“親近感が持ててつい気になってしまう、観てみたくなる”、そんなテーマを探りました」(尾上氏)。
名言で伝える選手たちの激闘
9月1日から21日まで実施中の東京メトロ銀座線レトロライナージャックでは、カール・ルイスやウサイン・ボルト、桐生祥秀らの「言葉」に着目。名シーンとともに、これまでの挑戦を振り返る。
東京メトロ銀座線レトロライナー掲出広告。現役選手からレジェンドまで、名言と名シーンで歴史をたどる。
新宿・渋谷では「運動会の記憶」をフックに
新宿メトロプロムナードと渋谷109に掲出されたOOHでは、「運動会」をモチーフに据え、より親しみやすく大会を伝えることを狙った。
コピーライターの吉村優作氏は、“世界最大の運動会”という表現に込めた想いをこう語る。
「学生の頃から、競技そのものより運動会の気配が好きでした。大人になった今でも、日曜日に散歩をしていて、遠くに歓声が聞こえるだけで、ちょっといい気持ちになる。世界陸上はアスリートたちの祭典であり、人類の挑戦の舞台。厳密にいえば運動会とは言いきれないかもしれません。だけど、もう一度世界陸上を、皆のものにしたい。織田裕二さんのように熱狂する人も、散歩がてらふらっと立ち寄る人もいてもいい。運動会の気配あふれる日曜日みたいに、日本が幸せに包まれて欲しいと考えました」(吉村氏)。
プランナーの中原小百合氏は、「運動会というコンセプトだからこそ、大会や選手にリスペクトを持って徹底的な作り込みを意識しました」と説明する。
新宿のOOHには、小学生に書いてもらった標語や絵画のポスターを掲出。実際に取材してつくった新聞など、細部にまでこだわったという。
「小学生、先生、PTAの方々を憑依させて、世界陸上を盛り上げる思いで製作しました」と話すのはアートディレクターの碓井達朗氏。詳細な設計図を事前に用意していたものの、画鋲で書かれた「キターーー」は急きょ最後に加えられた仕掛けだという。
世界最高峰の競技の迫力を伝えるだけでなく、幅広い層に親近感を持ってもらうことを意図した今回の広告。21日までの掲出で、大会の機運を後押ししている。
新宿メトロプロムナードのOOH。掲出は9月8日から21日まで。
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スタッフリスト
企画制作
電通、D2C ID、J.C.SPARK、日庄、イリアル、C.A.L、ランドマーク
【全体共通】
CD
尾上永晃
AD
碓井達朗
PL
中原小百合
C
吉村優作
PR
高橋大輔
AE
樋口友康、矢部裕太郎、安藤明
| 【GR】 | |
| D | 大槻耕平、佐藤寿実 |
| 印刷 | 稲餅信之 |
| 造作進行 | 武田真理子、串田潮音 |
| GRPR | 杉山雅志 |
| D | 伊藤洋文 |
| カメラマン | 諸星太輔 |
| レタッチャー | 片岡大、 磯崎大介 |
| 【MOVIE】 | |
| PR | 小口達也 |
| PM | 石部雅紀 |
| Dir | 梅津聡真 |
| 撮影 | 斉藤正人 |
| 編集 | 飯塚実希子 |












