アメリカに拠点を置く非営利のクリエイティブ団体The One Club for Creativityは9月10日、第105回ADC賞の作品募集キャンペーンを開始した。テーマは「Create a Beautiful Future」。電通の八木義博氏がエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めている。
メインビジュアルでは幾何学模様で孔雀が描かれている。その意図を八木氏は次のように説明する。
「ADC賞で受賞者に贈られる『キューブ』を、個人の栄光ではなく、ADC全体に集まるデザインへの愛と捉えました。通常キューブとは立体ですが、今回はあえて2D的な解釈でキューブを繋いで描いています」。
そしてそのキューブのみで孔雀を構成している。孔雀を題材としたのは、誇りや権威、美しさ、羽ばたきを表す生き物だと考えたためだ。
「なんといっても、孔雀の大きく美しい羽は『求愛行動』の象徴。Call for Entries(作品募集)とはまさに応募者への求愛行動だと捉えました。さらに孔雀の羽は光の角度によって色が変わりますが、それはデザインが世の中の変化や多様な視点を反映することを象徴しています」(八木氏)。
ADC賞の作品募集キャンペーンは、記録に残る限りでは1935年から各国のエージェンシーやクリエイターが持ち回りで担当している。しかし基本的には、拠点国であるアメリカの企業やクリエイターが担当することが多く、アジアおよび日本のクリエイターが担当するのは今回が初めて。
The One Club for Creativityによると、八木氏に依頼したのは「『My Japan Railway』や『行くぜ、東北。』『Pocky THE GIFT』など、独自のクリエイティブビジョンと卓越した作品を以前より高く評価してきたため、(八木氏及び電通が)今年のキャンペーンを形作るにふさわしい存在だと確信した」ためだという。
「105年分のデザインへの愛が積み重なり、新たな化学反応が生まれ、美しい世界や未来がつくられることに繋げられたら。ADCは次の世代へ何を手渡せるのか。『Call for Entries』という言葉自体の意味が、ここで新しく変わっていくのではないかと感じています」(八木氏)。
ADC賞は今後、2026年1月23日まで作品を募集中(それ以降も2月20日まで応募を受け付けるが、出品手数料が高くなる)。1月に全審査員が発表され、3月に審査を実施、5月にニューヨークで贈賞式が開催される。
なお八木義博氏は今年7月、21人の世界的に著名なクリエイティブリーダーで構成される、ADCのボードメンバーに選出されている。

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スタッフリスト
企画制作
電通、たきコーポレーション
ECD
八木義博
CD
福岡万里子
AD
加藤寛之、山口さくら
D
森本一平、彌富妙、恩地遼平、冨ヶ原由季
クリエイティブテクノロジスト
九鬼慧太
クリエイティブプロデューサー
原田睦子、中村由佳
Pr
山田建太、佐々木優奈

