日清食品は、33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求したブランド 「完全メシ」の認知拡大に向けたトライアルの一環として、都市のオフィスエリアに展開する喫煙所サイネージに「完全メシ」のCMを掲出した。のちに広告接触者と非接触者にアンケートを実施したところ、「完全メシ」の特徴認知率に大きな差が生まれた。
今回の取り組みについて、日清食品 ビヨンドフード事業部の酒元陽平氏と、喫煙所サイネージ「BREAK(ブレイク)」を運営するコソドの湯川健太氏に話を聞いた。
1日30分、喫煙所は広告に集中しやすい空間
コソドが運営する「BREAK」は、都心オフィスの喫煙所に特化したデジタルサイネージのネットワークだ。オフィスビルなどの喫煙所スペースにモニターを設置し、広告映像を配信する。2021年のサービス開始から拡大を続け、現在は首都圏を中心に500カ所以上に設置。リーチ数は520万人規模へと成長している。
広告主は飲料やセルフケア用品などからビジネスツールに至るまで幅広い。オフィスワーカーが利用する商材全般が対象になりうる。都市部の交通・屋外広告やタクシー広告、オフィスエレベーター広告などと近い使われ方をしているといえそうだ。
オフィスビルの喫煙所にサイネージを設置
それら他メディアと比べて、コソドの湯川健太氏が注目しているのは滞在時間と頻度だ。
「オフィスビルで働く喫煙者は、1日に平均5回喫煙所を利用し、1回あたりの滞在時間は約6分間というデータがあります。喫煙の間は手持ち無沙汰なことが多いため、広告を見てもらいやすく、記憶にも残りやすいと考えています」(湯川氏)
喫煙者に限られるものの、広告接触を担保しながら、繰り返しの視聴によって深い理解が期待できるところに「BREAK」の強みがある。日本の喫煙人口は1700万人といわれ、一定規模の市場を形成している。
「完全メシ」は認知から理解促進のフェーズへ
日清食品の「完全メシ」は、忙しい毎日の中でも、おいしくて栄養バランスの整ったものを食べたい人に向けた商品として 2022年に誕生した。カップ麺やカップライスのほか、冷凍食品やドリンクなど、多彩なラインナップを揃えている。
日清食品の酒元陽平氏は、「テレビCMの効果もあって、『完全メシ』は一定の認知を獲得しています。もっと多くの方が商品を手に取り、継続的に食べてもらうためには、商品の特徴をしっかり理解してもらうことが重要です」と話す。
日清食品 ビヨンドフード事業部 マーケティング部 マネージャー 酒元陽平 氏
「BREAK」では、7月に2週間にわたって「完全メシ」のCMを掲出した。約103万回再生され、リーチは約250万人に上る。その一部を対象に、認知や態度変容などについて調べるブランドリフト調査を実施した。
掲出したのは、実業家の堀江貴文氏が出演する30秒のCMだ。「思ったことをストレートに言うというイメージがある方ですので、『この人が勧めるなら食べてみようかな』と思ってもらえるよう、説得力のある内容に仕上げました」(酒元氏)
「完全メシ」の特徴認知率、広告接触者は非接触者の2.4倍
調査は「BREAK」でCMに接触した人とそうでない人を対象に行い、その数値を比較した。商品の認知率は、接触した人(88%)、接触していない人(76%)でいずれも高い結果が出たが、商品の特徴認知率では非接触者が32%だったのに対して、接触者では78%と2.4倍の差が生じた。
特徴認知率の差が生まれた背景について湯川氏は「テレビCMで獲得した認知をベースに、BREAKでの繰り返し接触と、6分前後の滞在によるじっくりとした視聴体験が掛け合わさることで、短期間のうちに商品の特徴への理解を大きくリフトアップできたのではないかと感じています」と分析した。
コソド 取締役CMO 湯川健太 氏
酒元氏は、今回の取り組みで喫煙者の健康意識 について関心を持っていたと話す。
「一般的に、喫煙者は健康意識が低いと思われがちですが、喫煙による健康リスクを日常的に意識しているのも喫煙者自身です。そこで、喫煙の最中に『完全メシ』の広告に接触することで、健康意識がより強く喚起され、『完全メシ』への興味・関心につながるのではないかと期待しました」(酒元氏)
実際、広告閲覧後の「印象/考え」に対する調査では、「健康に良さそう」と答えた広告接触者は非接触者の2.3倍、「効果が期待できる」は2.2倍、「自分向きと感じる」では2.6倍と大きな差がついた。酒元氏は「『自分向きと感じる』方の割合が、非接触者と比べて2.6倍だったのは驚きでした。健康意識を高める場所とは言い難い喫煙所が、むしろ健康的な食生活を始めるきっかけになりうるという結果は、非常に興味深いです」と話す。
また、広告閲覧後の行動を性別ごとに見ると、男性はWebサイトでの情報閲覧やECサイトでの購入、社内で話題にした人が多かった。一方で女性は、コンビニエンスストアでの購入、家族や知人、友人と話題にした人が多く、性別による差が認められている。いずれにしても、 オフィスビルで働く喫煙者層への意識・態度変容に一定の効果があったといえそうだ。
体験型の新しいサービスメニューも開始
一連の調査結果について、酒元氏は当初の期待を大きく上回ったと評価している。湯川氏は、今回のトライアルとその効果検証をふまえて、「完全メシ」と「BREAK」の相性が良かったと分析する。「喫煙所利用のピークは朝と昼と帰宅前。その3回は、ランチ前ならランチに食べようと思いますし、ランチ後でも今度食べてみようと思える。退勤前なら帰宅中にスーパーやコンビニに寄って惣菜やお弁当のかわりに「完全メシ」を買うという行動を喚起しやすく、調査としてもそのような結果が出たと思います」(湯川氏)
酒元氏も、喫煙所という広告メディアに集中しやすい環境がより深い視聴態度につながり、目的に合致していたと評価する。今回のトライアルについては「コロナやDXなど、社会的にも変化が目まぐるしい現代では、人々の価値観の変化も注視していくべきだと考えています。そうした変化に対応するため、これからも新しいメディアへの挑戦を積極的に続けていきたい」と意欲を見せた。
湯川氏は「最近、新たに体験型のサービスとして『BREAK touch』を提供開始しました。喫煙所ではタバコを吸う以外の目的はないですし、平均6分間の滞在があるからこそ、商品やブランドをじっくり体験してもらい、その場で感想を聞くといった濃い接触が可能になります。すでに日用品や衣類などのクライアントで活用いただき、今後はサイネージとの組み合わせなど、多様なニーズに合わせた施策を拡大させていきたいです」と展望を述べた。
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