コミュニケーションの議論でしばしば登場する「What to say(何を言うか)」「How to say(どう言うか)」。
実務でわざわざ口にすることはほぼないですが、どちらもとても大事なことだし、この業界にいる人なら誰もが耳馴染みのある言葉だと思います。ちなみに自分は個人的にここにもうひとつ足しておりまして、それが「Who to say(誰が言うか)」。
例になるかわかりませんが、「憧れるのをやめましょう」。記憶に新しいこの名言、これはとんでもないあの人が言うから刺さるのであって、何も成し遂げてないよく知らん人から言われても「お前が言うな」で終了。むしろ周囲をおそろしい不快感で包み込みます。
つまりどんなに金言だとしても、それはその言葉を放つ人の顔が聞き手の頭の中に浮かんでいることが前提条件……。
仕事で企業やブランドのスローガンやタグラインを考える際も、その言葉は企業ロゴの近くに置かれるケースが多いので、企業名もセットでコピーとして考えるようにしています。
……ただ、そのクセがついてしまったせいか、最近では日常生活で支障をきたすようになってきてしまいました。
たとえば居酒屋で。ヒマを持て余していそうな大学生たちが、乾杯のとき「おつかれ~」と言いながらグラスをぶつけ合っている姿を見たその夜、なぜか下痢が止まらなくなりました。
絶対音感を持つ人が救急車の不協和音を聞いて気持ち悪くなるあれ、みたいな感じでしょうか。はい、ちがいますね。
若いみなさんも、話者とメッセージ内容の関係性を見誤らないようお気をつけください。ぼくはそればかり考えてずっとお腹がゆるいです。

