神さま?それとも幽霊? 全要素AIで制作した短編映画『ラストドリーム』が示唆する映画業界のこれから

ピラミッドフィルムの串田壮史監督が手がけた『ラストドリーム』(2025年7月公開)は、全ての映像と音素材がAIによって生成された短編映画だ。これまでAIに馴染みが薄かったという串田監督。AIで映画をつくり終えたその手応えとは? そして低予算かつ短期間での映画制作が可能となった今、業界のクリエイターたちにどのような変化が起きようとしているのか。

講座でゼロからAIの使い方を学ぶ

ピラミッドフィルムの串田壮史監督が手がけた短編映画『ラストドリーム』は、全編AIツールで制作された作品だ。地球誕生から滅亡までの46億年を10分間で描くこの作品は、埼玉県のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭での上映や、韓国の富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭のAI映画部門での最優秀作品賞受賞など、今注目を集めている。

イメージ 『ラストドリーム』キービジュアル。

『ラストドリーム』キービジュアル。

制作のきっかけは、串田監督が所属するピラミッドフィルム社内に「PYRAMIDAI」というAI部門が発足されたことだった。それまでAIツールにほとんど触れたことがなかった串田監督は、外部のAI関連セミナーを受講。「AIを使って映像をつくるフローや、ツールの選定、プロンプトの書き方を教わりました。今回使ったツールは概ねその講義で教わったものだと思います。最初の2カ月はAIの使い方を学ぶところから始め、12月から制作を開始。3月ごろに完成しました」。

『ラストドリーム』90秒予告篇。

AIが考える人類の歴史とは

46億年の歴史という壮大なテーマを選んだのには理由があるという。「AIが生成するものは、人類が過去につくったものを学習したものですよね。そこで『AIはどこまで人類史を理解しているんだろう』という疑問が生まれたんです。人類史の最初から最後までを描かせたらどんな表現を生み出すのか、興味がありました。だから基本はAIと対話するようなイメージで、思ったようなカットじゃなくてもAIからの『お告げ』として受け入れ、1カット目から最後まで順番に制作を進めました」。

使用したツールはプロンプトを生成するためのChatGPTに加え、静止画出力用のMidjourney、出力した画像を動画に変換するためにRunwayとKling AI(KlingAIのアップデートに伴いRunwayから乗り換え)、BGMは音楽生成AIのSuno、セリフなどは音声読み上げAIのElevenLabsを用い、アップスケーリングにはMagnificAI(静止画)、TopazLabs(動画)を使ったという。

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