組織を強化する「CABフレーム」とは? LTV最大化のためのプロセスを公開

AIで業務効率化が進む一方、人間が関わる合意形成は依然として時間がかかる。そのような課題を解決し、組織内で納得感ある意思決定を実現するための手法として、BtoBマーケターの富家翔平氏は「CABフレーム」を提唱する。

9月初旬に開催された「第5回 営業戦略会議」では、同氏がCABフレームの具体的な内容と活用方法を詳しく解説した。

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合意形成コストが組織の成長を阻む

富家氏は、AIが作業プロセスを効率化する中、共感・信頼・納得感を伴う合意形成は代替できないと指摘。「AI化が進むほど、意思決定のスピードは合意形成ができているかに左右される」と強調した。

現場では、マーケティング部門はリード数、営業部門は受注率、CS部門は解約率とそれぞれ異なるKPIを追い、全体最適の視点を失いやすい。その結果、それぞれが自身のタスクに集中し、間の仕事が抜け落ちてしまう“静かな分断”が進行する。

富家氏は「部門間連携は実際には大変な仕事で、部分最適は一見合理的に見える。しかし、これを乗り越えなければLTV最大化はできない」と警鐘を鳴らした。

「CABフレーム」で課題と優先順位を可視化

各部門の合意形成を進める「CABフレーム」は、マーケティング施策を整理・評価・優先順位づけするフレームワークだ。C(Category)は施策の区分、A(Achievement)は達成度、B(Balance)は比重を表す。

CABフレーム

施策は、種類ではなく目的別に分類する。例えば「ポジション形成」「リード獲得」「商談機会獲得」「顧客獲得」「オペレーション強化」といった具合だ。

達成度では、各施策ごとに「戦略・実行」と「仕組み・成果」軸で5段階に分け、各段階がどのような状態かを明確に設定。自社の現状を立体的に把握する。商談機会獲得が戦略・実行ではS評価でも、仕組み・成果がD評価なら「属人化」が課題であることがわかる。

CABフレーム

富家氏は「すべての達成度を一度にSランクに引き上げるのは非現実的」とし、どこにリソースを集中するか比重を設定し、ステークホルダーと議論することで納得感ある決定ができると語る。

部門間の対話を経て、アクションを決める

CABフレームで全体像を整理した後は、実際の方針とアクションを決めていく。富家氏は「アクションから考えると散漫になってしまい、忙しいのに成果が出ない状態になる」と指摘。方針を決めておくことで、次に何をすべきかが明確になり、現場が自発的に動ける土台が整うという。

CABフレーム

最後に富家氏は「CABフレームは現状と理想のギャップを可視化し、課題を共通言語で語るためのツール。企業内では、必要な人同士が適切なテーマを、適切な頻度で話せていないということが発生します。まずは対話を増やしてほしい」と語った。

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