The Modelを機能させる「営業×マーケ統合戦略」

営業戦略を掲げても現場に浸透せず、成果に結びつかない。多くの企業が抱えるこの課題に対し、パーソル総合研究所 シニアコンサルタントの河村 亨 氏は「戦略は現場に“型”として根づかせてこそ力を発揮する」と指摘。「第5回 営業戦略会議」で、日本企業の営業組織が直面する現状と課題、そして定着に向けた具体的な方策を語った。

写真 人物 パーソル総合研究所 シニアコンサルタントの河村 亨 氏

The Model型の現場での壁

河村氏はまず、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを分業して連携させる「The Model型プロセス」に言及した。理想的な仕組みである一方で、現場では必ずしも機能していないのが現状だ。顧客情報を十分にリサーチせずに架電するインサイドセールス、最終的にフィールドに戻ってしまうカスタマーサクセスなど、分業の「隙間」で営業機会を取りこぼす例が少なくないと指摘する。

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同研究所が実施した大規模調査では、顧客の68.8%が「解決の方向性を決めてから外部に相談する」と回答した。顧客は自ら情報を集めたうえで営業に接触しており、求めているのは漠然とした課題の聞き出しではなく、自社の方向性を補強してくれる具体的な説明だという。河村氏は「効率的に検討を進めたい顧客にとって、形だけのヒアリングやアポイント獲得は意味を持たない」と強調した。

プロダクト型からアカウント型への転換

こうした変化に対応するには、プロダクト型営業からアカウント型ソリューション営業への転換が不可欠だ。プロダクト型がスピードや商談件数を重視するのに対し、アカウント型は複合的なソリューションを提供しながら、長期的な関係構築を図る点に特徴がある。しかし現場では、重要顧客と一般顧客が混在しているなど、管理の不整合によって非効率が生じている。

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河村氏は、顧客を「魅力度」と「浸透度」で層別化する視点を提示。ワンソリューションで十分な顧客には効率的なプロダクト型の分業体制を、重要顧客にはアカウント型の体制を構築することを提案した。さらに、フィールドセールス、インサイドセールス、カスタマーサクセスが共通のアカウントプランを持ち、同じ目標に向かって動く体制が必要だと続ける。

氷山の下にある“潜在ニーズ”をどう掘り起こすか

講演後半では、商談発生の構造を「氷山」に例えて説明。顧客の潜在ニーズは水面下に隠れており、氷山は常に浮き沈みしているという。河村氏は「顧客が動く瞬間を捉えるには、情報提供という刺激を与え続け、顕在化のサインをキャッチするマーケティングプロセスが必要」と語る。

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プロセスを定着させるには、属人的な営業スキルを組織として再現可能な“型”に変えることが重要だ。そのために同社では、層別化やマーケティング骨子策定、営業プロセス可視化、アカウントプラン設計など、現場のコアメンバーと共に検討するワークショップを提供している。コンサルティングと研修の中間に位置づけ、現場に即したフレームワークを浸透させる取り組みだ。

最後に、CRMによる情報一元管理、アカウント型インサイドセールス人材育成などの具体策を提示。「分業モデルの限界を超えて統合戦略を描くには、自社に合った“営業の型”を現場のコアメンバーが共に構築していくことが重要」と締めくくった。

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お問い合わせ

株式会社パーソル総合研究所

https://rc.persol-group.co.jp/contact/


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