セレブリックスが挑む「AI営業組織」 再現性と効率化で誰でも売れる体制へ

法人営業支援を手がけるセレブリックスCMOの今井晶也氏は、400名規模の営業組織にAIを導入し、8割が日常的に活用する体制を構築。商談準備からロールプレイング、提案資料作成まで幅広く活用し、営業メンバーの効率性を加速させている。

第5回 営業戦略会議」で行われた講演では、AI活用の具体的な事例とマネジメント層への展開について紹介した。

営業活動全体にAIを実装

セレブリックスでは、営業プロセスでAIが活用されるシーンを、「分析」「準備」「相談」「整理」の4カテゴリで分類。顧客情報の収集や仮説立案といった事前準備から、商談前の壁打ち、提案資料作成まで、ほぼすべてのプロセスを効率化している。

特に特徴的なのが、AIを顧客役に設定したロールプレイングだ。営業担当者は商談の想定問答を繰り返し練習し、AIからフィードバックを得ることで、成功パターンを学習できる。今井氏は「属人的なスキルを可視化し、誰でも同じ水準で成果を出せる状態をつくることが重要」と語り、再現性の確保を強調した。

さらに、社内では複数のペルソナを設定してアイデアを出し合う「井戸端会議」形式のブレストも実施。例えば食品メーカー向けのキャンペーン案では、AIにバイヤー、営業担当、顧客代表、コンサルタントなどを演じさせ、100本以上の案を生成。その中から実行可能性の高い案を抽出し、提案資料へ落とし込むなど、効率的な企画立案を実現している。

データで指導ポイントを可視化!マネジメント変革

AI活用は現場だけでなくマネジメント層にも展開されている。営業メンバーの商談内容を解析し、トップセールスと平均的メンバーの違いを抽出。どの質問や説明が成約につながりやすいかを可視化することで、マネージャーが注力すべき指導ポイントが明確になった。

今井氏は「マネージャーが個別案件の後追いに時間を費やすのではなく、組織全体の改善施策に時間を割けるようになった」と語る。結果として、商談の質やフォロー体制が底上げされ、メンバー育成のスピードも上がったという。

社内プロンプト図書館で“効率化”を加速

社内にはプロンプトライブラリも整備。「#商談ロープレ」「#課題整理」「#企画ブレスト」など、用途別に数十本のテンプレートが用意され、営業メンバーはすぐにAIを呼び出して活用できる。情報整理や資料作成の効率化が進み、若手メンバーでも短期間で一定水準の提案ができるようになった。

今井氏は「AIは正解を教えて、使い込むことで精度が高まっていく。今後、営業パーソンはコミュニケーションなどより人間らしい能力を磨き、AIと共に“誰でも成果を出せる営業組織”を実現したい」と締めくくった。

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